禁裏本歌書の蔵書史的研究
定価
6,160 円(税込)
本体 5,600円
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内容

従来の和歌文学の書誌学的研究が、個別の資料に基づき行われてきたのに対し、本書では禁裏本の総体を蔵書群として捉え、同時代の公家日記や古歌書目録類を援用しつつその伝来の歴史を跡付ける。また、禁裏における歌学や古典文学の注釈・講釈に注目し、古典学の変遷を叙述する。中世後期以降、歴代天皇がどのような歌書を求め、書写し、収蔵していったかを明らかにするのが本書の目的である。

目次

はじめに―総説―

第一章 両統迭立期の禁裏文庫と伏見宮本の成立
  大覚寺統・持明院統の禁裏文庫概説
  『玉葉集』奏覧本と『仙洞御文書目録』
  持明院等の蔵書の行方と伏見宮本の成立―『玉葉集』を中  心に―
  結語

第二章 『新続古今集』の撰進をめぐって―後花園天皇期の禁裏文庫―
  はじめに
  後花園天皇の収書活動ち『新続古今集』の撰集
  『新続古今集』の奏覧と禁裏御本『新続古今集』の書写史
  おわりに

第三章 文明期の禁裏における歌書の書写活動
  はじめに
  寛正6年の勅撰集撰進の蹉跌と甘露寺親長
  後土御門天皇の書写活動医の根源的動機
  文明期の勅撰集の書写・校合の実態
  文明期の禁裏における勅撰集以外の書写事蹟
  現存の禁裏本「二十一代集」の本奥書と伝来
  おわりに

第四章 戦国期の禁裏の蔵書と古典学
  禁裏御本『源氏物語』と三条西実隆
  後土御門天皇の晩年の禁裏御本の書写と古典学
  後柏原天皇期の禁裏御本の書写と古典学
  後奈良天皇期の禁裏御本の書写と古典学
  正親町天皇期の禁裏御本の書写と古典学
  おわりに

第五章 後陽成天皇の収書活動―文学関係資料を中心に―
  はじめに
  御陽成天皇の禁裏文庫の再興と古典・歌学の講釈
  後陽成天皇撰『倭歌方輿勝覧』の成立とその改変
  後陽成天皇の歌書の書写と退位後の収書活動
  おわりに

第六章 後水尾天皇の歌書の書写活動と禁裏文庫
  はじめに
  元和期の禁中御学問講と禁裏御本の書写事蹟
  元和期の御文庫の新造と禁裏御本の収蔵
  寛永期の後水尾天皇の書写活動と仙洞御本の行方
  後水尾天皇の退位後の古典研究の深化
  おわりに

第七章 東山御文庫『古官庫歌書目録』と岩瀬文庫本『官本目録』の成立
  はじめに
  後水尾院仙洞の典籍の禁裏文庫への謙渡と『古官庫歌書  目録』の作成
  『官本目録』の成立年次と性格
  『禁裡御蔵書目録』『官本目録』の成立と作成目的
  おわりに

第八章 近世天皇家への古典学の継承
  近世天皇家における『三部抄口伝』の成立と展開(はじめに/東山御文庫・後西天皇宸翰『三部抄口伝』―その一・その二―/『三部抄』伝受と御所伝受)
  近世天皇家の源氏学の形成―「源氏三ヶ大事」から『伏屋塵』へ―(はじめに/『源氏物語』切紙伝受の生成と展開/後水尾院『伏屋塵』と中院家の源氏学/おわりに)

第九章 後西天皇の歌書の書写活動
  はじめに
  万治・寛文期の後西天皇の書写活動と歌道伝受
  延宝・天和期の後西天皇の書写事蹟と歌学講釈
  後西天皇遺物分配
  幸仁親王拝領の高松宮本と御所本歌書群―霊元天皇の   収書へ―
  おわりに

第十章 江戸時代前期の禁裏における冷泉家本の書写活動
  はじめに
  万治・寛文年間の禁裏における典籍の書写事蹟
  天和二年の冷泉家本の書写
  貞享二年四月・五月の冷泉家本の書写
  おわりに

第十一章 霊元院仙洞における歌書の書写活動
  はじめに
  宝永・正徳期の霊元院の歌書収集
  享保期の『新類題和歌集』編纂と高松宮本『歌書目録』
  享保年間の霊元院の歌書収集と『新類題和歌集』の編集   過程
  『新類題和歌集』の成立と霊元院所蔵の歌書の行方
  おわりに

第十二章 霊元院仙洞における古記録の収書活動
  はじめに
  霊元院天皇の禁裏文庫収蔵の古記録
  霊元天皇の譲位後の収書活動
  おわりに

 
 初出一覧
 あとがき
 索引(人名・書名)

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