<好評重版>
2刷出来(2019年7月)

内容

本来、目に見えないはずの幽霊―しかしこれまで日本人は、それを文学作品や絵画、映像によって描いてきた。
「幽霊」という言葉の意味は時代によって変遷し、それはときに現代人の多くが想像するものと大きく異なる。
人びとは幽霊をどう感知し、それを表象するためにいかなる工夫をしてきたのか、幽霊になにを求めたのか。歴史学、メディア学、文学、美術史学、宗教学、社会学、民俗学等さまざまな研究分野から日本人の精神世界の一端に迫る。

【担当編集者より】
2018年2月、面白そうだなと思い聞きに行ったシンポジウムは、教室から溢れんばかりの聴講者がきており、受付が終わらず開始時間を押しての始まりでした。
大学のシンポジウムでこんなに人がくるのか、と驚いたのを覚えています。
タイトルは「幽霊」ですが、目次を見て分かるとおり、テーマは幽霊に限りません(なぜかは「序章」をお読みください)。
死を、人はどう捉えてきたのでしょうか。いつの時代も興味が尽きない問題です。

目次

第Ⅰ部 幽霊の存在論―それはどう生起するのか
生と死の間―霊魂の観点から―(山田雄司)
幽霊ではなかった幽霊―古代・中世における実像―(小山聡子)
死霊表象の胚胎―記紀・万葉集を中心に―(松井健人)


第Ⅱ部 幽霊の表現論―それはどう描かれるのか
化物振舞―松平南海侯の化物道楽―(近藤瑞木)
『新釈四谷怪談』のお岩が映しだすもの―占領期の日本映画検閲と田中絹代のスターイメージをめぐって―(鈴木潤)
祟りきれない老婆と猫―中川信夫『亡霊怪猫屋敷』のモダニティ―(山口直孝)
幽霊とゾンビ、この相反するもの―肉体と霊魂の関係性と価値観の伝播について―(岡本健)
予見者・反逆者・哲学者―大塚睦の「幽霊」―(足立元)


第Ⅲ部 幽霊の空間論―それはどこに出没するのか
上から出る幽霊―地上七・八尺の異界―(山本陽子)
立ち現れる神霊―御嶽講の御座儀礼―(小林奈央子)
大都市江戸の怪異譚―『耳袋』と『反古のうらがき』から―(内田忠賢)
デジタル時代の幽霊表象―監視カメラが自動的/機械的に捕捉した幽霊動画を題材に―(松本健太郎)
現代社会の幽霊(ゴースト)的読解―ホラー映画の表象とメディアの物質性(マテリアリティ)―(遠藤英樹)

紹介媒体

  • 「週刊読書人」

    2019年4月19日

    小野俊太郎

    書評

  • 『怪と幽』vol.001

    2019年4月24日

    編者インタビュー(聞き手:東雅夫)

    スポットライトは焼酎火(『幽霊の歴史文化学』小山聡子インタビュー)

  • 朝日新聞デジタル「好書好日」

    2019年4月27日

    朝宮運河

    朝宮運河のホラーワールド渉猟

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