内容

本書は、明治・大正期の京都で制作・流通・鑑賞された絵画、工芸、建築、庭園さらには定期刊行物や書物など広範なジャンルをとりあげて論じることにより、近代京都の美術工芸をめぐる状況の解明を試みる。また、化学者や技術者、パトロンや学者たちなど、美術史の文脈にはこれまでほとんど登場しなかった人びとが、美術工芸家をめぐるネットワークとして浮かび上がる。
いまだ途上にある、近代京都の美術工芸研究を更新し、その作品や資料の評価、位置づけを問い直す論集。

目次

第Ⅰ部 制作
浅井忠とパリ―近代日本における芸術家の転身をめぐる考察(並木誠士)
木島櫻谷の写生帖―明治京都 青年画家の足跡(実方葉子)
太田喜二郎研究―その画業と生涯(植田彩芳子)
河井寛次郎と京焼の生産システム―登り窯を「受け継ぐ」意味(木立雅朗)
京都における染織工芸の近代化―写し友禅・機械捺染・墨流し染(青木美保子)
水曜会をめぐる考察―竹内栖鳳塾における明治三〇年代後半の新動向(上田文)
『小美術』―その分析と西川一草亭の果たした役割(和田積希)
京都市立美術工芸学校の教育課程(松尾芳樹)

第Ⅱ部 流通
美術貿易黎明期の京都とロンドン―美術商池田清助とトーマス・J・ラーキン(山本真紗子)
谷口香嶠の模写と画譜出版(藤本真名美)
雑誌『時事漫画非美術画報』にみる戯画と図案(前川志織)
明治期京都における染色デザインの展開―友禅協会応募図案を中心に(加茂瑞穂)
明治期京都における教育機関への海外デザインの導入―図案集を中心として(岡達也)

第Ⅲ部 鑑賞
小波魚青「戊辰之役之図」と明治維新観(高木博志)
雑誌にみる近代京都の美術工芸―黒田天外の『日本美術と工芸』をめぐって(中尾優衣)
京都商品陳列所と明治末京都の美術工芸(三宅拓也)
土田麦僊の画室建設と材木商塩崎庄三郎(田島達也)
武徳殿の建設と国風イメージの波及(中川理)
茶会の場の考察(矢ヶ崎善太郎)

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