響きあう東西文化
本体価格
5,400 円(税別)
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著者・編者略歴

むなかた・きぬこ…京都府生まれ。1973年京都大学文学部フランス文学専攻卒業,同大学院文学研究科同専攻修士課程修了,同博士課程単位取得退学, 新ソルボンヌ・パリ第三大学文学博士.現在,神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授.

内容

本書は、19世紀フランス象徴主義の巨匠・詩人ステファヌ・マラルメ(1842-98)について文学的考察を起点に進められた諸芸術(美術・音楽)の相関的研究から、明治近代化の黎明期に、日本の伝統芸術・文化を欧米に紹介してその価値を究めたアーネスト・フェノロサ(1853-1908)との関係へと至るものであり、東西の芸術文化の交流の諸相および日本文化の価値を、現代に向けて照らし出すものである。著者の10年にわたるマラルメ探究の成果、そのエッセンスをまとめた一書。

目次

〈Ⅰ 文芸に見る自然観〉
 一 マラルメの“無”
  1 人工的自然と創造的無
  2 日本美術における時空間の一特質
  3 自然の描写に関わる相違性
  4 “主体”をめぐる文芸の照らしあい

 二 俳句とハイカイ
  1 俳句の仏訳が示す主体表現の異同
  2 ハイカイとシュールレアリスム、断片と組合せ
  3 ことばによる絵、自然に融合する主体

 三 “主体”の表現
  1 マラルメの抽象的イマージュ、日常と非日常、創造と遊び
  2 画人俳人・蕪村が描くことばとイマージュ
  3 日本の絵、イマージュが現前させる非分析的“主体”
  4 ジャポニスムにおけるマラルメの位置

 四 バルト再考
  1『零度のエクリチュ-ル』、ことばの透明性
  2『表徴の帝国』、俳句の無響性と「マラルメの住み処」
  3 芸術諸領域に通底する無目的性・遊戯性
  4 日本における俳句の展開
  5 言語と文化における自然


〈Ⅱ 創造における逆説性〉
 一 中枢としての音楽
  1 マラルメの「骰子一擲」における“沈黙の楽譜”
  2 ドビュッシー“美しい嘘”と東洋への眼差し
  3 ブラックとクレーに共鳴する音楽、“事物の諸関係”と東洋的無
  4 九鬼周造とフェノロサ、西欧近代と日本文化における自然

 二 世紀末芸術の錯綜
  1 西欧近代、社会の波乱と生成
  2 芸術文化の変貌
  3 西欧芸術の動向、東洋への注目
  4 明治日本の芸術事情
  5 芸術の本質、様々な両義性

 三 ロダンが結ぶ社会と芸術
  1 アール・ヌーヴォーおよび文学世界との交わり
  2 自然讃美と日本芸術への感興、“花子”の動態表現
  3 リアリズムと抽象、現代芸術へ


〈Ⅲ 芸術表現の交流〉
 一 マラルメの「骰子一擲」から
  1 図形詩「骰子一擲」、“偶然”の思索
  2 ことばのあり方
  3 音楽の可能性と限界
  4 視覚芸術の可能性と限界
  5「骰子一擲」に実現されたジャンル総合の意味

 二 マチスの“余白”、現代へ
  1 マラルメの“空白”とマネ、東洋への傾倒
  2 マチスの挿画『マラルメ詩集』と『画家のノート』、“余白”と日本版画への憧憬
  3 フォション・カイヨワ・書家森田子龍、ジャンルと東西の架け橋

 三 詩と絵と書における“空無”
  1 書は文学か美術か
  2 マラルメ・アポリネールから具体詩ゴムリンガーへ
  3 バゼーヌにおける“白紙”の発展
  4 現代抽象芸術への道筋
  5 抒情と抽象における多様な表象

 四 東山魁夷が紡ぐ東西芸術
  1 戦後の決意、自然への志向
  2 日本・ドイツ・北欧、自然の生成と衰滅
  3 自然の循環と人の命を描くイマージュとことば
  4 写生から象徴・抽象・デザインへ、現代社会への思い


〈Ⅳ 伝統文化の現代性〉
 一 九鬼周造とフランス象徴主義
  1「文学の形而上学」、文学・音楽・美術を繋ぐ時間論
  2 フランス講演「日本芸術における「無限」の表現」
  3 フランス象徴主義の解釈、偶然性と“無”と“全”

 二 フェノロサの総合芸術観
  1 東西文化の意識、自然への畏敬
  2 芸術ジャンルの総合性と音楽の優先的位置“内在的諸関係の調和”
  3 文学論「文学の理論に関する予備的講義」における“流動”
  4 世紀末文化の共有、パリ“部屋の詩人”と大津“三井寺の僧”

 三 フェノロサ『漢字考』と「能楽論」の文芸価値
  1 遺作『漢字考』、自然に依拠する“思想絵画”、具体と普遍のハーモニー
  2 遺稿 「能楽論」、ことばと舞における“無”、虚構と抽象
  3 パウンドとイェイツの継承、フェノロサの象徴主義
  4 美術運動と支えあう文学的認識、現代を見晴らした文化史家


あとがき/初出一覧/参考文献/図版一覧/人名索引

紹介媒体

  • 『ふらんす』1月号

    2015年12月

    さえら

  • 『LOTUS』No.36

    2016年3月

    大久保美春

    書評

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