碇の文化史
定価
6,380 円(税込)
本体 5,800円
在庫状況: 在庫あり

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著者・編者略歴

いしはら・わたる…1954年長崎県生。1976年東海大学海洋学部海洋工学科卒業、1980年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業、2014年佛教大学大学院博士課程文学研究科日本史学専攻修了。博士(文学)。現在、(公財)日本習字教育財団理事・同付属博物館「観峰館」副館長。

内容

船や海事の象徴としてよく表される碇(いかり)だが、その先行研究は希薄であった。
本書では、先史の時代から石や木で作られた碇が、鉄の錨(いかり)へと移り変わっていくまでの形態上の変化と発展の系譜をたどる。
歴史学という大きな枠組みの中から、時には水中考古学の見地から遺物をとらえ、またあるときは文献資料や絵画資料を駆使し、民俗例や伝承、風俗といったものも絡めて、碇をただ単なる繋船具というだけでなく、碇の変遷を通して見えてくる文化史を浮き彫りにしていく一書。

目次

序 章 
研究の視点/研究の方法/船の発達史

第一章 先史時代のイカリ 
イカリと錘/先史時代の礫石錘に関する研究史/縄文時代の礫石錘/弥生時代の礫石錘/礫石錘の形態分類/先史時代のイカリに関する考察

第二章 古墳時代と古代のイカリ(碇) 
古墳の線刻画にみるイカリの表現/船形埴輪にみる古墳時代の船/後世に描かれた船とイカリの線刻画/古墳時代のイカリ/文献にみる古代の沈石・重石/船戸遺跡から出土した古代の碇/イカリという名称/絵画資料にみる遣唐使船と碇の資料/考察

第三章 「入唐求法巡礼行記」にみる碇(矴) 
承和遣唐使節団の派遣にいたる経緯/承和の遣唐使節団の航海/長江河口における碇(矴)の使用例/新羅船による沿岸航路上における碇(矴)の使用例/座礁時における碇(矴)の使用例/文登県清寧郷赤山村における碇(矴)の補充/「入唐求法巡礼行記」にみる碇(矴)に関する記載と考察

第四章 中世の碇 
日本国内出土の碇石とその研究/中国国内の碇石の変遷/長崎県松浦市鷹島町沖出土の碇石/海底に埋没していた大型碇の出土/碇石の諸形式―分類と編年―/蒙古襲来時の蒙古軍船とその碇―中国山東省蓬莱出土の碇石

第五章 中世和船の碇 
絵画資料に描かれた和船と碇/出土した碇石/出土した碇身

第六章 鉄製錨の登場とその原因 
中国における鉄製錨の登場/日本における鉄製錨の登場/「錨」という表記/碇を喰ったフナクイムシの存在/素材からみた碇の変遷

補 論 茨城県、南西諸島、沖縄本島で発見された碇石 
茨城県波崎町の碇石/碇石の由来/南西諸島および沖縄本島近海から発見された碇石

終 章 
先史時代のイカリ/古墳時代のイカリと古代の碇/古代の用碇法/中世中国船の碇と和船の碇/鉄錨の登場/素材からみた碇の変遷/構造からみた碇の変遷/用途からみた碇の変遷


あとがき
挿図一覧

紹介媒体

  • 「日本経済新聞」

    2015年5月6日

    記事

  • 『古代文化』68巻3号

    2016年12月30日

    新刊紹介

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