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鳥居龍蔵の学問と世界

徳島県立鳥居龍蔵記念博物館 編

鳥居龍蔵を語る会 編

  • 体裁
    A5判上製・568頁+本扉2頁+口絵8頁
  • 刊行年月
    2020年12月
  • ISBN
    978-4-7842-1998-8

本体(小口や天地)に汚れがございます。予めご了承ください。

内容

 日本における人類学・考古学の黎明期を代表する研究者の一人である鳥居龍蔵。明治から昭和にかけて、その足跡は中国東北部・内モンゴルから朝鮮半島、また台湾、中国西南部、東部シベリア、果ては南米まで及ぶ。
 学歴にとらわれず、後年には官をも辞し、家族とともに世界を駆け巡った「町の学者」鳥居。彼のなした学問が、当時、そして現在の学術研究にどう影響したのか。碩学が残した膨大な資料をもとに、その研究を現代社会の中で再評価する一書。

【担当編集者より】
鳥居龍蔵はなかなか不思議な人物です。県立でその名を冠する博物館がありながら、全国はもとより地元でもあまりその偉業が知られていないようです(周囲の徳島出身者に尋ねましたが今のところ0勝2敗です)。
日本各地、果ては海外まで調査へ赴く衰え知らずの行動力、カメラを使った調査や海外の学会に所属するという革新性、そして現在に遺る大量の研究資料と、鳥居の研究と後世への貢献は「地元の偉人」にとどまるものではありません。
その偉業もさることながら、妻子をともなう調査旅行など家族ぐるみで研究にあたるスタイルが、とても面白いなと思います。
本書は鳥居龍蔵という人物のみならず、日本の学界や、地方における地元顕彰、ブラジルの日本人移民など、彼を取りまく近代社会が垣間見え、飽きない一冊となっています。

目次

はしがき

Ⅰ鳥居龍蔵を語る

人類学者鳥居龍蔵の学問と人物像(天羽利夫)


Ⅱ世界の中の鳥居龍蔵

鳥居龍蔵と西洋の人類学界―学問は国境を越えて―(ラファエル・アバ)
千島・樺太調査(齋藤玲子)
朝鮮半島調査(吉井秀夫)
台湾研究―第1回,第2回を中心に―(宮岡真央子)
『人類学上より見たる西南支那』を読む―中国近代史研究史料としての鳥居龍蔵の旅日記―(吉開将人)
遼宋~蒙元代の軒平瓦における造瓦変革と朝鮮半島・日本への影響(佐川正敏)
中国遼上京における考古学的研究(董新林)
鳥居龍蔵とアンデス文明との出会い(関雄二)


Ⅲ鳥居龍蔵,列島を歩く―国内調査の軌跡―

戦後日本考古学史における鳥居龍蔵の再評価(中村豊)
近畿調査の成果とその意義(岡本治代)
鳥居龍蔵の弥生式土器観―『諏訪史』第1巻編纂の頃―(高島芳弘)
徳島における調査活動とその意義(石井伸夫)
徳島市城山貝塚の発掘調査とその意義(湯浅利彦)
城山第2号貝塚から出土した人骨―発掘記録からの検証―(佐宗亜衣子)
鳥居龍蔵と武蔵野会―武蔵野会の設立と東京府下の史跡保存活動―(氏家敏之)
九州南部における鳥居龍蔵の調査(橋本達也)


Ⅳ検証・鳥居龍蔵―資料整理の最前線―

鳥居龍蔵の台湾調査に関する諸資料(石尾和仁)
鳥居龍蔵の学説形成における「南方諸民族」把握の試み(石井伸夫)
大正期の鳥居龍蔵と本山彦一―本山彦一書簡の紹介を中心に―(松永友和)
徳島城復元図の制作と城山貝塚(大橋俊雄)
鳥居龍蔵の未刊原稿群と学知のあり方―中国からの帰国時作成目録に注目して―(長谷川賢二)


Ⅴ資料の窓

新聞が報じた鳥居龍蔵の鹿児島県調査(大原賢二)
鳥居龍蔵の中国山東省調査(鳥居喬)
鳥居龍蔵年譜(抄)(下田順一)


あとがき
索引
執筆者紹介

紹介媒体

  • 「徳島新聞」

    2021年1月31日

    文化面「とくしま出版録」

  • 『古代文化』第73巻1号

    2021年7月14日

    大野薫

    書評

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