ジャポニスムヲカンガエル

ジャポニスムを考える

日本文化表象をめぐる他者と自己

ジャポニスム学会 編

  • 体裁
    A5判・352頁
  • 刊行年月
    2022年04月
  • ISBN
    978-4-7842-2034-2

内容

ジャポニスムとは、19世紀後半にフランス近代画家等が積極的に日本趣味や美意識を取り入れた文化現象を主に指してきたが、近年では「世界に向けて発信された日本文化」といった、越境的な時空で展開する日本文化表象および受容を広く示す言葉として流通し始めている。近代美術史や近代文学研究のサブフィールドとして捉えられてきたジャポニスム的な現象や表現、そしてその評価と批評には、今日のグローバルな文化における「日本」の座標を理解する有益な手がかりが多く含まれている。
本書の狙いは、日本の外からあるいは日本の外を意識してイメージされた「日本文化」を研究する問題点と可能性を、ジャポニスム研究をリードする学者らが提起することにある。

★★★担当編集からのひとこと★★★
東京オリンピック招致に「お・も・て・な・し」する美女像が一役買ったのは記憶に新しいですが、なぜあのようなプレゼンになったのでしょうか。19世紀にまでさかのぼってみると、西洋の人々が日本の女性に対して抱いてきた共通するイメージが浮かび上がってきます。
西洋の人々は日本文化のどこに惹かれ、どう受け入れてきたのか。逆にその視線を日本はどう利用してきたのか。この本では、13名の研究者がさまざまな角度からジャポニスムについてそれぞれの考え方を提示しています。日頃から「日本の魅力ってなんだろう」と考えている方、「なんとなく日本文化を勉強したいな」と考えている大学生、日本の魅力を世界にどう発信するか考えているビジネスマン、誰が読んでも何かしらのヒントを提供できる内容になっていると思います。

目次

序 ジャポニスムを考える(高木陽子・村井則子)

第Ⅰ部 ジャポニスム研究のはじまり

第1章 ジャポニスム研究の展開―斜かいから眺めた回顧(稲賀繁美)
第2章 西洋美術史におけるジャポニスムの周縁化について(グレッグ・トーマス)
第3章 近代日本における美術史上の「ジャポニスム」への認識(南明日香)
第4章 日本人にとってのジャポニスム―彼らはそれをどう受け入れたか(馬渕明子)

第Ⅱ部 ジャポニスムの主体としての日本

第5章 もうひとつの博物館としての農商務省商品陳列館―殖産興業とジャポニスム(石井元章)
第6章 日本人がつくったジャポニスム・イメージ―一九三〇年代の国際観光局のポスターから見えてくること(木田拓也)
第7章 ジャポニスムから「日本主義」へ―野口米次郎の浮世絵論と浮世絵詩を中心に(中地幸)

第Ⅲ部 ジャポニスム研究の越境性

第8章 エルネスト・シェノーの美術批評再考─英仏文芸交流からジャポニスムへ(ソフィー・バッシュ)
第9章 朝顔をめぐる英語圏のジャポニスム―ガーデニングから禅まで(橋本順光)
第10章 Mousmé からshojoへ―フランスメディアにおいて構築、「継承」される未熟なかわいい日本女性像(高馬京子)

第Ⅳ部 現代とジャポニスム研究

第11章 拡散するジャポニスム、模倣される《ラ・ジャポネーズ》―日米比較から見えること(村井則子)
第12章 ジャポニスム研究のレンズでみる現代―グローバル化する着物を事例に(高木陽子)

あとがき 藤原貞朗

アンケート ジャポニスムとはなにか?

参考文献/索引/執筆者紹介

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