著者・編者略歴

まつぞの ひとし・・・1958年東京都生。九州大学文学研究科博士後期課程満期修了退学、博士(文学)。愛知学院大学文学部教授。日本古代・中世史。『日記の家―中世国家の記録組織』(吉川弘文館、1997年)、『王朝日記論』(法政大学出版局、2006年)、『日記で読む日本史⑬日記に魅入られた人々』(臨川書店、2017年)ほか、共編著多数。

内容

中世という激動の時代、翻弄される朝廷を支え、中世文学の担い手として活躍した禁裏の女房たちの実態に迫るべく、さまざまな文献資料を渉猟し、丹念に繋ぎ合わせることで、一人ひとりの軌跡を追い、さらにその全体像の復元を試みた労作である。

本書では、平安後期の堀河天皇から、戦国時代の後奈良天皇までの内侍の復元を軸に、勾当内侍や大納言典侍といった禁裏女房の中心的役割の女房の出現を明らかにし、とくに中世後期については、下級女房も含む女房全体を復元する。

その成果は、巻末に天皇の在位期間ごとに一覧表化され、復元過程を通じて明らかになった、女房たちを輩出する「家」の系図も掲載する。

第二部では、『看聞日記』より復元された伏見宮家の女房の実態から中世女房の存在形態を紹介し、第三部では、日記文学や『御湯殿上日記』などの中世の日記と女房との関わりを多面的に追っている。中世史研究の工具書として必携の成果である。

【担当編集より】
 本書を担当してまず驚かされたのは、著者である松薗先生の読解力、分析力、記憶力、そして忍耐力の凄さです。
 同姓同名(!?)が頻出し、さらに同一人物なのに時期によって名前が変わることもある女房を、さまざまな史料から抽出し、一人ひとりアイデンティファイしていく。そんな気が遠くなるような作業の末に誕生した本書では、それぞれの女房たちが、史料の行間からすっくと立ち上がり、堂々と名乗りを上げているような印象を受けます。
 第二部には、社交家なのに歌を詠むのは苦手という、チャーミングな伏見宮家 南御方(後花園天皇母)が登場します。

目次

序章 中世の内裏女房を理解するために

◆第一部 中世禁裏女房◆
第一章 内侍の職務と補任
第二章 中世の内侍の復元
第三章 大納言典侍の成立
第四章 室町時代の禁裏女房―後花園天皇の時代を中心に―
第五章 戦国時代の禁裏女房(一)―上級女房―
第六章 戦国時代の禁裏女房(二)―下級女房たちを中心に―

◆第二部 室町時代の宮家の女房と尼◆
第七章 伏見宮家の女房たち
付論 伏見宮家の南御方―その物詣を中心に―
第八章 『看聞日記』に見える尼と尼寺

◆第三部 女房と日記◆
第九章 中世の女房と日記
第十章 『御湯殿上日記』の成立

紹介媒体

  • 「朝日新聞」読書面

    2018年12月8日

    情報フォルダ―

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