日記・古記録の世界
定価
13,750 円(税込)
本体 12,500円
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内容

日本の日記・古記録を題材として、日本史学、日本文学など関連分野の第一線の研究者がそれぞれの視点からその本質に迫った論文集。日記とは何か、古記録とは何か、それらを記録することの意味、記主や伝来をめぐる諸問題、さらには古代・中世における使われ方など、単に日記・古記録を利用するだけにとどまらない意欲作35論考を収録した。国際日本文化研究センターでの3年間にわたる共同研究「日記の総合的研究」の成果。

目次

序に代えて―日記と古記録について―(倉本一宏)

第Ⅰ部 日記・古記録の本質

「日記」および「日記文学」概念史大概(鈴木貞美)
「日記」という文献(近藤好和)
 ―その実態の多様性―
茶会記の成立(松薗斉)
 ―日記・古記録学の視点から―
日記と日記文学(カレル・フィアラ)
日記と僧伝の間(榎本渉)
 ―『空華日用工夫略集』の周辺―

第Ⅱ部 日記・古記録を記すということ

具注暦と日記(山下克明)
古記録の裏書について(倉本一宏)
 ―特に『御堂関白記』自筆本について―
日記から歴史物語へ(中村康夫)
 ―政変をめぐって―
記す祭と記さない祭(上野勝之)
 ―貴族の邸内祭祀に見る古記録の記載基準―
藤原行成が『権記』に記した秘事(板倉則衣)
 ―なぜ日記を書き残すのか―
近世琉球における日記の作法(下郡剛)
 ―那覇役人福地家の日記をとおして―

第Ⅲ部 日記・古記録の記主をめぐって

宇多天皇の文体(佐藤全敏)
日記における記主の官職名表記についての検討(小倉慈司)
日記の亡佚に関する一考察(今谷明)
 ―記主と権力の緊張関係について―
記事の筆録態度にみる記主の意識(尾上陽介)
 ―記事を書くこと、書かないこと―
日記を書く天皇(西村さとみ)
一人称形式かな日記の成立をめぐって(久富木原玲)
『台記』に見る藤原頼長のセクシュアリティの再検討(三橋順子)

第Ⅳ部 日記・古記録の伝来

かへりきにける阿倍仲麻呂(荒木浩)
 ―『土左日記』異文と『新唐書』―
『御堂関白記』古写本の書写態度(名和修)
『小右記』と『左経記』の記載方法と保存形態(三橋正)
 ―古記録文化の確立―
公家史料の申沙汰記(井原今朝男)
 ―日記と古文書を結ぶ史料群―
真言門跡寺院における文書と日記(上島享)
 ―勧修寺大経蔵からみえるもの―
『西宮記』勘物の諸本間の配列について(堀井佳代子)
 ―六月・七月勘物の書写方法から―
殿下乗合事件(曽我良成)
 ―「物語」に秘めた真実と「日記」に潜む誤解―

第Ⅴ部 日記・古記録の使われ方

渡海日記と文書の引載(森公章)
 ―古記録学的分析の試みとして―
平安貴族による日記利用の諸形態(加藤友康)
藤原行成『権記』と『新撰年中行事』(古瀬奈津子)
 ―引用された式と日記を手がかりに―
『明月記』の写本学研究(藤本孝一)
 ―貴族日記と有職故実書―

第Ⅵ部 日記・古記録を素材として

国司苛政上訴寸考(磐下徹)
 ―日記を用いた処理手続きの復元―
『宮中御懺法講絵巻』(三千院所蔵)の再検討(末松剛)
 ―記録性の視点から―
日記逸文から読み取れること(古藤真平)
 ―『宇多天皇御記』の壺切由来記事の考察から―
一条天皇と祥瑞(有富純也)
検非違使官人の日記(中町美香子)
 ―『清獬眼抄』に見る焼亡奏と「三町」―
ペリーがくるまでは、やはり鎖国である。(井上章一)
 ―オランダ商館日記から―


跋語に代えて
 ―「日記の総合的研究“The Synthetic Researches of Japanese Diaries”」について―


「日記の総合的研究」共同研究会開催一覧
『日本研究』〈共同研究報告〉掲載論文一覧
執筆者紹介

紹介媒体

  • 「日本経済新聞」

    2016年2月13日

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