日本図書館協会選定図書

著者・編者略歴

すずき・たつや…1938年北海道生、上智大学外国語学部卒業。現在、トランステクネ・インターナショナル株式会社社長、日本パイプクラブ連盟名誉会長、国際パイブクラブ委員会副会長、国際パイプ・アカデミー評議委員。

内容

前著『喫煙伝来史の研究』で従来の諸説の問題点に光りを当てた著者が、前編では新大陸からヨーロッパ、中近東、アフリカの諸地域へ伝播したタバコと喫煙について考察。これをふまえて後編では日本への伝来、アジア近隣国への伝播について、これまで定説的に扱われてきた諸説を改めて見直し、時間軸上に矛盾のない説を展開する。

目次

前編 新大陸から旧大陸へ―ヨーロッパ・イスラム社会・アフリカへの伝播―

第1章 コロンブス以前の喫煙
 紀元前の香と喫煙(タバコ以前)
 南アメリカおよび中央アメリカの喫煙とパレンケ神殿の喫煙図
 北アメリカの喫煙とタバコ
 ヨーロッパ人の到着

第2章 新大陸からヨーロッパへ
 ヨーロッパ勢力の新大陸進出(大航海時代)
 ヨーロッパ各国へのタバコの紹介
 フランス・ポルトガル・スペインへの紹介―万能薬として―

第3章 旧大陸最初の喫煙国:イングランド
 ド・ローベル
 ジョン・ホーキンス卿とフランシス・ドレイク卿
 ハリオット
 スチュアート朝のジェームズ一世王
 クレイ・パイプ
 ブライアー・パイプ
 シガレット
 カラバッジ・パイプ

第4章 ヨーロッパの集散・加工基地:オランダ
 オランダのタバコ
 クレイ・パイプ
 ヨーロッパの金属パイプ
 スナッフ、シガー、シガレット

第5章 北欧諸国の喫煙
 デンマーク
 ノールウェイ
 スウェーデン

第6章 他の欧州諸国への伝播
 ドイツ
 イタリア
 フランス
 ロシア
 ギリシャ
 ハンガリー

第7章 スペインへの伝播
 スペイン・ポルトガル
 1642年の教皇ウルバヌス八世の勅書
 スペインに始まった嗅ぎタバコ(スナッフ)・葉巻(シガー)と紙巻タバコ

第8章 イスラム社会・アフリカへの伝播と水パイプ
 オスマン・トルコ(オスマン帝国)
 チブーク・パイプ
 ペルシャ(現イラン)
 アフリカ
 水パイプ


後編 日本への伝播そして近隣アジア諸国へ

第9章 日本への喫煙伝播
 『越後國三嶋郡出雲崎村御水帳』(天正四年=1576)
 『鹿苑日録』(文禄二年=1593)
 『石州邑智郡大林之銀山屋敷帳』『石州邑智郡大林村御縄打水帳』
 『琉球往来』(慶長八年=1603)

第10章 タバコ・喫煙伝来マニラ(スペイン)説の諸問題
 「薬用タバコの種子伝来」を「喫煙用タバコの伝来」と誤認
 伝播された喫煙形態の矛盾
 中国の初期喫煙形態とスペインの影響
 在マニラ・スペイン総督府の対日政策とスペイン船の限られた来航
 私的交易によるタバコ伝来
 慶長10年以前の史料否定と時間軸上の矛盾
 慶長10年伝来説の矛盾とその解釈

第11章 キセルの起源とその語源
 「カンボジア語説」の考察
 「カンボジア語説」の語源学的検証
 「キセル」と「ラオ」の語源学的考察
 キセルの起源

第12章 長崎出島のオランダ商館とパイプ
 一七・一八世紀のキセル輸出とオランダ商館―アジアにおけるパイプ喫煙での伝播と拡散―
 長崎出島オランダ商館内消費財としてのクレイ・パイプ―VOCの供給開始とキセルからの転換―

第13章 アジアの近隣諸国へ
 フィリピン
 中国へのタバコ・喫煙伝播
 シベリア
 朝鮮半島そして中国東北部へ
 その他の近隣国

終章 総括および補遺


あとがき
挿図一覧
主な著作・論文・初出等一覧
引用・参考文献
索引(人名・地名・事項)

紹介媒体

  • 「京都新聞」

    2015年9月27日

    紹介

  • 「信濃毎日新聞」

    2015年9月27日

    紹介

関連書籍

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