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内容

南蛮人によって齎(もたら)されたタバコは、江戸時代初期に喫煙が禁止される程に民間に流行した。日本におけるタバコの歴史は伝来以来400年以上になるが、その伝来時期は今ひとつはっきりしない。従来の諸説を見直し、新史料を駆使することによって得られた新しい研究書が、ここに上梓されることになった。在野のタバコ研究の第一人者である著者の10年に及ぶ調査研究の成果である。外国語文献に精通する著者ならではのタバコ伝来に関する実証研究である。キセル起源の考証と共に、柔軟な視野と発想が際立っており、珍しい図版も添えられている。是非一読をおすすめしたい書物である。五野井隆史(東京大学史料編纂所教授)

目次

序章 南蛮人渡来と喫煙の伝来
南蛮人渡来とポルトガル船との交易/天文から天正にかけての南蛮船来航/タバコ伝来に関する資料・文書/『〓[エン]録』(〓の字は、焉にくさかんむりがついたものです *2)/『めさまし草』

第2章 最古の「タバコ」記述 n天正四年「たはこや吉左ヱ門」/『越後国三嶋郡出雲崎村御水帳』の考察/文禄・慶長初期の喫煙流行- 『鹿苑日録』の考察/伝来初期の喫煙形態とタバコ伝来

第3章 最古の「キセル」記述-袋中上人撰『琉球往来』の考察
最古の「キセル(烟筒)」記述/「烟草」の記述/「烟草事」を中国の書状の写しとする説への反論/袋中上人の執筆動機と目的

第4章 キセルの起源とその語原
「カンボジア語」説の考察/「キセル」と「ラオ」の語原/キセルの起源

第5章 南蛮ギセル考
南蛮ギセル/南蛮屏風と風俗画屏風に見る南蛮ギセル/南蛮寺/南蛮寺遺物/南蛮寺跡の青銅製キセル/南蛮寺遺物の石硯線刻に見る南蛮ギセルと蝋燭消し/幻の南蛮ギセル

第6章 フランシスコ会文書にみるタバコ種子伝来
スペインと東アジア/スペインとタバコ/日本を訪れた最初のフランシスコ会士達/日本に住んだ最初のフランシスコ会士達/ヘロニモ・デ・ヘスス・デ・カストロ神父/ヘロニモ神父三度目の来日と本邦最初のタバコの種子

第7章 イエズス会文書に見る慶長中期のタバコと喫煙
ポルトガルとイエズス会/ポルトガルとタバコ/イエズス会文書とタバコ/コウロス書翰

第8章 三浦按針のパイプ
最初のイングランド人ウィリアム・アダムズ/イングランドとタバコ/アダムズの日本航海/徳川家康と三浦按針/平戸オランダ商館/平戸英国商館/三浦按針のパイプ

第9章 『イギリス商館長日記』のパイプ
イギリス商館長リチャード・コックス/『イギリス商館長日記』のパイプとタバコ/『イギリス商館長日記』のタバコ価格考察

終章 総括
新大陸発見から旧大陸へ/ヨーロッパからアジアへ/我が国への喫煙伝来

紹介媒体

  • 緑新聞

    2000年1月20日

  • TASC290号

    2000年1月

    関口二郎

    たばこ総合研究センター

  • たばこ史研究70号

    1999年11月30日

    岡本光義

  • 日本経済新聞

    2000年3月8日

    著者

    「文化」欄

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