日本古代国家の農民規範と地域社会
定価
9,900 円(税込)
本体 9,000円
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日本古代国家の農民規範と地域社会

坂江渉 著

  • 体裁
    A5判上製・464頁
  • 刊行年月
    2016年01月
  • ISBN
    978-4-7842-1787-8

著者・編者略歴

さかえ・わたる…1959年大阪府生、1982年滋賀大学経済学部卒業、1984年神戸大学文学部卒業、1992年神戸大学大学院(博士課程)文化学研究科単位取得満期退学。博士(文学)。
現在、兵庫県立歴史博物館・研究コーディネーター。

内容

古代の過酷な生活環境のなかで、社会の維持や人口の再生産はいかになされたのか。
「農民規範」と「浮浪人」をキーワードに国家が地域社会に期待した農民像、さらには律令国家の社会統治原理を明らかにする。その一方、風土記や記紀にみえる神話や伝承、民間歌謡を素材として村落における農民結合のあり方、族長層と農民との支配―庇護関係を論じ、国家と地域社会の関係を双方の視点から分析する。
また古代の国際交通を視野に入れることで、大陸諸国との諸関係の中で日本古代国家の特質を解明する。

目次

序 章 本書の課題と構成
一 研究潮流と今日的通説
二 吉田孝説への疑問と方法視角
三 本書の構成


  第Ⅰ部 日本古代国家の農民規範と浮浪人

第一章 日本古代の力田について
はじめに
一 古代中国における力田
二 日本古代における力田
三 力田政策の思想的背景
おわりに

第二章 律令国家の農民規範と浮浪・逃亡
はじめに
一 古代中国の農民規範と分業論的社会編成原理
二 日本古代の農民規範と浮浪・逃亡
三 力田的な農民規範の担い手と地域社会の現実
おわりに

第三章 律令国家の社会編成原理の転換と浮浪人認識――「不論土浪」策の登場――
はじめに
一 律令国家の浮浪人認識と「不論土浪」策の登場
二 律令国家の社会編成原理の転換とその前提
三 伊治公砦麻呂の「蜂起」と人民的交通
おわりに


  第Ⅱ部 古代の共同体と地域社会

第一章 古代女性の婚姻規範――美女伝承と歌垣――
はじめに
一 根日女と引田部赤猪子の説話
二 歌垣と女性の婚姻規範
三 「皆婚」規範の形成と古代の生活環境
おわりに

第二章 人を取り巻く自然・社会環境と古代の共同体
はじめに
一 古代の歌垣
二 婚姻と出産(生殖)をめぐる共同体行事
三 生命・生存の維持をめぐる村の自立性
おわりに

第三章 「国占め」神話の歴史的前提――古代の食膳と勧農儀礼――
はじめに
一 「国占め」神話の全体的特徴
二 「国占め」の食膳儀礼
三 「国占め」のための勧農行事
おわりに


  第Ⅲ部 古代の水陸交通と境界の呪術・祭祀

第一章 古代国家とミナトの神祭り
はじめに
一 ミナトの呪術・祭祀伝承
二 ミナトの自然環境と信仰の場
三 古代国家の海洋祭祀と海部の編成
四 神戸・西摂地域から明石海峡の海人とその動員編成
おわりに

第二章 古代国家と敏売崎の外交儀礼
はじめに
一 敏売浦と敏売崎の外交儀礼
二 神酒と肴の共同飲食
三 古代国家にとっての神戸・西摂地域
おわりに

第三章 『播磨国風土記』からみる地域間交通と祭祀――出雲国と王権との関連で――
はじめに
一 出雲国の関連説話の特徴
二 六世紀後半以降の出雲―播磨間交通と往来者による境界祭祀
三 境界祭祀の重層性と出雲の「荒ぶる神」
おわりに


終 章 日本の律令国家と地域社会
一 日本律令国家による社会編成
二 律令制下の地域社会と共同体
三 今後の課題


初出一覧
あとがき
索引(事項/史料名/研究者名)

紹介媒体

  • 『日本史研究』652号

    2016年12月

    森田喜久男

    書評

  • 『日本歴史』827号

    2017年4月1日

    吉松大志

    書評と紹介

  • 『歴史評論』810号

    2017年10月

    田中禎昭

    書評

  • 『古代文化』第70巻第2号

    2018年9月30日

    有富純也

    書評

  • 『ヒストリア』第270号

    2018年10月20日

    北村安裕

    書評

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