日本中世の環境と村落
本体価格
8,400 円(税別)
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著者・編者略歴

はしもと・みちのり…1965年岡山県岡山市生。京都大学大学院文学研究科博士後期課程国史学専攻中退、京都大学博士(文学)。現在、滋賀県立琵琶湖博物館専門学芸員。

内容

 第一部では、中世琵琶湖漁撈と首都京都での消費という問題を中心に、中世村落にとっての「水辺」における漁撈の歴史的意義を問い、第二部では、他地域の検討もふまえ、一三世紀を画期として、小さなムラが精緻な地域資源利用の主導権を握るとする「生業の稠密化」論を提起し、従来の集約化論や集村化論を止揚する。
 自然環境と人間との関係性を議論の中心に据えた村落論を構築する意欲作。

目次

序 章 戦後における歴史学の自然環境理解と村落論
はじめに
第一節 環境史という潮流
第二節 日本中世史分野における自然環境理解
第三節 「網野史学」
第四節 「自力の村」論とテリトリー的領有論
第五節 日本中世史分野における環境史の研究―生業論を中心に―
むすびに―本書の視角と研究対象―


第一部 生業と村落

第一章 琵琶湖における一三世紀のエリ漁業権の転換とそこにおける村落の役割
第一節 問題の所在
第二節 エリの特徴と歴史的展開
第三節 奥嶋におけるエリ漁業権をめぐる紛争
第四節 ディスカッション

第二章 中世における琵琶湖漁撈の実態とその歴史的意義―「湖辺」の漁撈を中心に―
第一節 中世琵琶湖「漁業史」研究の到達点と限界
第二節 「湖辺」の中世村落と漁撈
第三節 漁撈の変質とその歴史的意義
むすびにかえて―消費の実態解明から―

第三章 中世における「水辺」の環境と生業―河川と湖沼の漁撈から―
はじめに
第一節 「水辺」の認識
第二節 「水辺」の漁撈
第三節 「水辺」の漁撈の位置―飢饉と市場―
むすびに

補論1 中世琵琶湖における殺生禁断と漁撈
はじめに
第一節 寺辺殺生禁断と石山寺
第二節 長命寺寺辺殺生禁断とエリによる漁撈
むすびにかえて―中世における寺辺殺生禁断の歴史的意義―

補論2 寺辺殺生禁断試論―宗教的戒律がつくる心理的景観―
第一節 「寺辺」という不可思議な領域
第二節 寺辺殺生禁断とは
第三節 琵琶湖地域の寺院と殺生禁断
第四節 むすびにかえて―現代と中世―

補論3 中世前期の堅田漁撈―『賀茂御祖皇太神宮諸国神戸記』所収 堅田関係史料の紹介―
はじめに
第一節 『賀茂御祖皇太神宮諸国神戸記』について
第二節 中世前期の堅田漁撈
むすびに
史料紹介

補論4 年中行事と生業の構造―琵琶湖のフナ属の生態を基軸として―
第一節 消費としての年中行事
第二節 年中行事と神饌―下鴨神社の場合―
第三節 魚介類の消費と生態、そして生業―琵琶湖のフナ属の場合―
第四節 「自然そのものの「論理」」と環境史

第四章 一五世紀における魚類の首都消費と漁撈―琵琶湖のフナ属の旬をめぐって―
はじめに
第一節 首都における魚類消費と旬
第二節 フナ属の名産地
第三節 フナ属の加工形態・料理法と消費の季節性
第四節 堅田鮒と堅田漁撈
むすびに


第二部 庄郷とムラ

第五章 荘園公領制再編成の一前提―辻太郎入道法名乗蓮とその一族―
はじめに
第一節 若狭国太良庄末武名名主職相論
第二節 御家人乗蓮
第三節 御家人化のからくり
第四節 乗蓮の限界
むすびにかえて

第六章 王家領備前国豊原庄の基礎的研究
はじめに
第一節 豊原庄の成立とその性格―公家社会のなかの豊原庄―
第二節 重源による開発とその後の相論―南北条・長沼・神崎―
第三節 王家領豊原庄の内部構成―豊原六郷―
むすびにかえて―その後の豊原庄―

第七章 近江国野洲郡兵主郷と安治村―中世村落の多様性・不安定性・流動性・階層性について―
はじめに
第一節 兵主郷の水利・祭祀構造
第二節 兵主郷の成立
第三節 兵主郷と安治村
むすびにかえて―中世村落の多様性・不安定性・流動性・階層性について―

第八章 中世の「水辺」と村落―「生業の稠密化」をめぐって―
はじめに
第一節 「水辺」という環境
第二節 生業の稠密化
第三節 「水辺」とムラの機能
むすびにかえて

あとがき
初出一覧
挿図一覧
索 引

紹介媒体

  • 『歴史評論』795号

    2016年7月

    蔵持重裕

    書評

  • 「滋賀報知新聞」

    2015年5月7日

    紹介

  • 『地方史研究』382号

    2016年8月

    新刊案内

  • 『日本史研究』649号

    2016年9月

    木村茂光

    書評

  • 『日本歴史』823号

    2016年12月

    坂本亮太

    書評と紹介

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