著者・編者略歴

なかがわ・おさむ…1955年生。京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了。京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科教授。

内容

 わが国戦前の空間はどのように編成されてきたのか――。

それは重要な研究課題であるにもかかわらず、従来、個別の事業史の議論にとどまる傾向にあった。

 本書はそうした状況を乗り越え、日本の近代化過程という歴史全体のなかで議論することを掲げ、インフラストラクチャーと制度や政治、あるいは共同体などとのかかわりを考究。建築史、都市計画史、土木史、造園史、歴史学など歴史的研究に携わる一線の研究者が、広くわが国の空間変容の実相を描き出す。

■担当編集者より■
今も昔も土木事業は国土の風景を一変させます。
近代日本の歩みを明らかにしようとするならば、インフラストラクチャーの整備という視点は欠かせないはずです。
本書の執筆陣は、多くが建築史、土木史、都市計画史などを専門とする理系出身の研究者です。それゆえ文系歴史学からのアプローチでは十分に迫ることができなかった部分にまで踏み込んだ議論がなされています。政治状況、関係法令、技術的裏付け、技師など事業の担い手たちの人脈などをふまえた、具体的かつ説得的な論考は新鮮で魅力的です。
多くの近代史研究者にぜひ読んでほしい論集です。

目次

序章 近代日本の空間編成史の試み(中川理)

第Ⅰ部 切断か継続か

第1章 東京市区改正計画の具体化に関する一考察(松山恵)
第2章 開港地建築家ブリジェンスの足跡(大田省一)


第Ⅱ部 併存する統治

第3章 「軍都」の形成と都市基盤―第九師団管下金沢の事例を中心に―(本康宏史)
第4章 神戸背山の開発と風致保護―部落有林野の解体と山地の近代化―(山口敬太)
第5章 財閥組織と都市経営―三菱財閥の「丸の内」―(野村正晴)


第Ⅲ部 統制的システムの構築

第6章 基盤編成の一九三〇年代―昭和恐慌下の三陸漁村と津波復興(青井哲人・岡村健太郎・石榑督和)
第7章 戦時下広畑一帯の工業開発と新興工業都市計画(中野茂夫)
第8章 植民地期「京城」の工業都市化と都市計画(石田潤一郎・金珠也)


第Ⅳ部 システムの内と外

第9章 近代都市計画の技術的基盤―土木技師・梶山浅次郎にみるその体現―(木方十根・味園将矢)
第10章 朝鮮巨大電源開発の系譜―大井川から赴戦江へ―(谷川竜一)
第11章 郊外住宅地開発に見られた方位観と寺院の誘致(中川理)


第Ⅴ部 非公共の回収

第12章 植民地朝鮮の公設洗濯場の施設計画をめぐって(砂本文彦)
第13章 帝都における風致地区(丸山宏)
第14章 風景の「近代化」―瀬戸内海風景の発見と創建―(小野芳朗)


あとがき/索引(人名・事項)/執筆者紹介 

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