1976年生まれ、兵庫県豊岡市出身。関西学院大学大学院文学研究科日本史学専攻博士課程後期課程単位取得満期退学。2007年、黒川古文化研究所研究助手、2008年より同研究所研究員。日本金工史および古器物考証史を専門とする。主要著書に『刀装具ワンダーランド』(創元社、2016年)、『和鏡賞鑑―図像でたどる千歳のねがい―』(黒川古文化研究所、2020年)など。
コブキノタンキュウ
古武器の探究
一八世紀における刀剣・甲冑調査
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体裁A5判・394頁
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刊行年月2025年12月
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ISBN978-4-7842-2127-1
著者・編者略歴
内容
徳川吉宗は、寺社や大名などが所蔵する由緒ある武器・武具を上覧するとともに、甲冑師らを西国に派遣して古武器を探索させ、その模写を献上させた。刀剣については、本阿弥家に名刀を列挙した『享保名物帳』の提出を命じ、刀鍛冶の全国調査を行い、優れた刀工を江戸へ呼び寄せた。その目的は、古製を知り、新たな武器を制作する際の参考とするためである。
このような吉宗の活動の流れを受け、松平定信による古文物調査の図録『集古十種』の編纂、伊勢貞丈らによる武家故実研究の高まりなど、古いものを見直す動きが起こる。本書は、古武器を題材として、近世中期から後期にかけて起こった復古・好古の潮流を検証する古器物考証史の試みである。
目次
序 章 古武器考証史の展望
一 刀剣研究の必要性と可能性
二 刀剣・甲冑の考証史
三 本書の目的と構成
第一章 八代将軍徳川吉宗による刀剣調査と『享保名物帳』の意義
はじめに
一 『享保名物帳』の概要
二 八代将軍吉宗と刀剣
おわりに
第二章 『集古十種稿』の分析からみる『集古十種』完成までの過程
はじめに
一 松平定信と『集古十種』
二 『集古十種稿』の所蔵状況
三 『集古十種稿』各篇の概要と『集古十種』との相違点
四 八五冊本『集古十種』に追加された資料の検討
おわりに
第三章 『集古十種』兵器篇と一八世紀の古武器調査
はじめに
一 『集古十種』兵器篇とその参考文献
二 『集古十種』の典拠となった資料
三 定信による宝物調査における古武器
おわりに
第四章 模写図からみた伊勢貞丈と古武器考証ネットワーク
はじめに
一 伊勢貞丈による古武器模写図の収集と考証
二 伊勢貞丈周辺の故実家たち
三 『平家物語』の会読
おわりに
終 章 好古の潮流における古武器