1988年、岩手県生まれ。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。成田山霊光館学芸員を経て、千葉大学大学院人文科学研究院助教。専門は日本近世絵画史、特に名所にかかわるイメージ。
ヒタチメイショズビョウブケンキュウ
「常陸名所図屛風」研究
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体裁A5判
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刊行年月2026年02月
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ISBN978-4-7842-2125-7
著者・編者略歴
内容
2015年に岩手県で発見された「常陸名所図屏風」(個人蔵、茨城県立歴史館寄託)は、17世紀末頃の常陸国の景観とそこでの風俗を俯瞰的に描いた、他に類例を見ない作品である。江戸前期の常陸国を生き生きと視覚化した本屏風には、現在では失われてしまった風景も含まれており、当時の地域の姿を伝える点でも貴重な資料である。
本書は、この謎多き屏風を単なる名所絵としてではなく、地域内部からのまなざしに応じて制作された史料として捉え、絵画・地誌・紀行文を横断的に分析する。洛中洛外図の系譜に連なるこの作品が、地域社会といかに関わり、どのような視覚体験を提供したのかを探り、美術史上に位置付ける試みである。
目次
序章 研究目的と分析視角
第一節 問題意識と研究目的
第二節 分析視角
第三節 本書の構成
第一章 「常陸名所図屏風」の概要
はじめに
第一節 画中景観
第二節 景観年代
第三節 絵師の検討
第四節 江戸後期から明治期の伝来
第二章 「常陸名所図屏風」の描写趣向
はじめに
第一節 画面構成の特徴
第二節 景観選択の論理
第三節 表出されない藩権力
第四節 水運へのまなざし
おわりに
第三章 水運の表象――「摂津国名所港津図屏風」との比較から――
はじめに
第一節 「摂津国名所港津図屏風」作品概要
第二節 「摂津国名所港津図屏風」の港の表象
第三節 「常陸名所図屏風」の港と河岸の表象
おわりに
第四章 名所風俗図と絵図・航路図の交錯―絵画表現における地理把握―
はじめに
第一節 航路図との距離―「摂津国名所港津図屏風」を例に―
第二節 「常陸名所図屏風」の地理把握の淵源
おわりに
第五章 「常陸名所図屏風」図様分析≪前編≫―先行図様の利用―
はじめに
第一節 分析目的
第二節 「常陸名所図屏風」における先行図様の利用
第三節 景観描写への図様転用
第四節 場の性質に即した人物配置
第五節 図様選択の特徴
おわりに
第六章 「常陸名所図屏風」図様分析≪後編≫―享受者と享受空間の考察―
はじめに
第一節 那珂川河口の大型船
第二節 水辺の遊楽
第三節 特定の悪所の不可視化
第四節 享楽性と暴力性の抑制
第五節 屏風の享受空間
おわりに
第七章 紀行文『ひたち帯』に見る元禄期常陸国の名所
はじめに
第一節 紀行文『ひたち帯』
第二節 名所の根拠
第三節 名所に関する知識の典拠
第四節 先達の存在と旅の動機付け
おわりに
終章 名所風俗図屏風の系譜―地域に向けたまなざし―
第一節 近世における名所風俗図屏風の展開
第二節 地域意識の形成と名所風俗図屛風の位置
おわりに―課題と展望―
挿図出典一覧/初出一覧/あとがき/索引