1955年茨城県生まれ。博士(歴史学)。1984年学習院大学大学院史学専攻博士課程後期単位取得。財団法人徳川黎明会徳川林政史研究所研究員を経て、1990年より国文学研究資料館に勤め、現在国文学研究資料館名誉教授。著書に、『日本近世国家の権威と儀礼』(吉川弘文館、1999年)、『江戸幕府と情報管理』(吉川弘文館、2024年)、他に、国文学研究資料館編『アーカイブズの構造認識と編成記述』(思文閣出版、2014年)など。
関連書籍
バクハンアーカイブズノシゲンカケンキュウ
幕藩アーカイブズの資源化研究
「家」の文書管理と武家社会
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体裁A5判・340頁
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刊行年月2026年04月
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ISBN978-4-7842-2122-6
著者・編者略歴
内容
江戸時代、役職に就いた大名・領主たちの執務の多くは、その「家」の家来たちが担っていた。したがって、老中や奉行への就任では、「家」としての知識や技術の獲得が問われ、師範による研修制度が整備された。転封のさいにはスタッフが入れ替わり、情報・記録の引き継ぎが前提となった。また、身分制社会における文書認識は、厳しい文書管理と処罰を現実とした。
本書では、大名家の文書群をアーカイブズとして体系的に把握するために、幕藩組織の構造や機能にまで射程を広げて分析。「家」における記録管理や大名家文書の生成・利用を具体的に解明し、アーカイブズ学と歴史学の両面から武家社会の実態に迫る。
目次
序 アーカイブズ資源化研究の動向と狙い
第1章 幕府寺社奉行と文書管理
はじめに
一 寺社奉行集団と文書の共同管理
二 月番箪笥・年番箪笥の引き継ぎと管理
三 月番箪笥から年番箪笥への文書移管の実態
四 月番箪笥・年番箪笥の中身から考える
おわりに
第2章 幕府寺社奉行の記録管理をめぐる動向
―法整備との関連に注目して―
はじめに
一 寺社奉行と記録管理
二 寺社奉行の記録収集と法整備
おわりに
第3章 近世中期における幕府勤役と師範
―新役への知識の継承をめぐって―
はじめに
一 寺社奉行の新旧交代と情報伝達
二 新役寺社奉行の就任と師範
三 新役寺社奉行の初月番と師範
おわりに
第4章 幕府奏者番にみる江戸時代の情報管理
はじめに
一 奏者番の組織と勤務
二 執務情報の組織的伝達
三 奏者番手留とその特徴
四 奏者番手留と情報活動
五 手留の内容と自留の作成
おわりに
第5章 天保期幕府老中職にみる公用方役人について
―松代藩真田幸貫を事例に―
はじめに
一 老中職の特質と事務体制
二 老中職の公用方役人とその組織構造
おわりに
第6章 天保期における老中職公用方役人と情報管理
―老中日記の作成と収集―
はじめに
一 老中日記と情報の高度活用
二 老中日記と公用方役人
おわりに
第7章 幕府老中職文書群に関する基礎的研究
―松代藩公用方役人と文書システム―
はじめに
一 幕府老中職と公用方役人
二 江戸藩邸の公用方役人と老中の登城
三 老中江戸藩邸と江戸殿中との連携
おわりに
第8章 転封にみる領知支配と記録
はじめに
一 転封を通じてみえる藩―領知支配に注目して―
二 転封における上知と郷村高帳
三 郷村高帳の作成と領知情報の集約
四 所替と「代官引渡記録」
おわりに
第9章 転封にみる領知引渡手続について
―三つの郷村高帳に注目して―
はじめに
一 勘定所における転封事務と領知管理
二 延岡における郷村と記録の引渡し
おわりに
第10章 近世の文字社会と身分序列
―秋田藩を事例に―
はじめに
一 近世前期秋田藩における御判紙
二 近世中期秋田藩の御判紙認識と管理問題
三 近世後期の藩主発給文書と価値認識
おわりに
結語にかえて
あとがき/索引