1978年、愛知県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD(2011~2012年)、筑波大学芸術系助教(2012~2016年)を経て、現在、京都大学大学院文学研究科准教授。
主要編著書に、(共訳)クリストフ・メンケ『力 美的人間学の根本概念』(人文書院、2022年)、「ヘルダーの『言語起源論』からカントの人間学講義へ」(『日本カント研究』第24号)、“Mathematical Foundation of Baumgarten’s Concept of the ‘Extensive Clarity,’”(『哲学研究』第614号)など。
定価
8,250 円(税込)
本体 7,500円
在庫状況:
未刊
ワレカンズユエニワレアリノビガク
「われ感ず、ゆえにわれ在り」の美学
ドイツ啓蒙主義における「感情」と「感覚」の系譜
定価
8,250 円(税込)
本体 7,500円
在庫状況:
未刊
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体裁A5判・260頁
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刊行年月2025年11月
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ISBN978-4-7842-2116-5
著者・編者略歴
内容
18世紀、バウムガルテンの手により誕生した美学は、当初「感性の学」として構想された。しかしその後ヘーゲルらによる再編を経て、「美」や「芸術」の哲学へと変容していく。
本書はそうした歴史的展開を踏まえつつも、18世紀ドイツに端を発する美学の原点に立ち返り、「感情/感触(Gefühl)」と「感覚(Empfindung)」という二つの概念に光を当てる。カント、ヘルダー、メンデルスゾーンらの思想のなかで、これらの概念はいかに捉えられ、そしてどのように美学の理論形成に寄与してきたのか。
さらには、アカデミーの懸賞課題や翻訳といった当時の外的要因、実際の芸術現象たる多感様式の分析など、多角的な視点からその展開を探りつつ、現代の美学的議論や認知科学にも通じる知的地平を拓く。
目次
プロローグ
Ⅰ 感情
第一章 ヘルダーにおける「われ感ず、ゆえにわれ在り」
第二章 美的判断における自己触発―「心の哲学」から見たカントの感情論
第三章 近世美学における「心臓の言語」―バウムガルテンとカント
第四章 Gefühlは「触覚」か(いつから)「感情」か
Ⅱ 感覚
第五章 メンデルスゾーンの感覚論―美と倫理の結合子としての虚構
第六章 ヘルダーの感覚論―『認識と感覚』の同時代的位置
第七章 カントの感覚論―「共通感覚中枢」をめぐるゼンメリンクとの対話
第八章 ヴィンケルマンの感覚論―『感覚能力論』読解の試み
第九章 Empfindnis概念小史
第十章 「多感様式」をめぐって
エピローグ