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音曲の近代百年

細川周平 著

  • 体裁
    A5判・436頁
  • 刊行年月
    2026年10月
  • ISBN
    978-4-7842-2089-2

著者・編者略歴

1955年生。東京芸術大学大学院音楽研究科博士課程修了、人文博士(音楽)。
現在、国際日本文化研究センター名誉教授。専門は近代日本音楽史、日系ブラジル文化史。
著書に、『音楽の記号論』(朝日出版社、1981年)、『レコードの美学』(勁草書房、1990年)、『サンバの国に演歌は流れる─音楽にみる日系ブラジル移民史』(中公新書、1995年)、『シネマ屋、ブラジルを行く─日系移民の郷愁とアイデンティティ』(新潮社、1999年)、『遠きにありてつくるもの─日系ブラジル人の思い・ことば・芸能』(みすず書房、2008年、読売文学賞受賞)、『日系ブラジル移民文学I・II─日本語の長い旅』(みすず書房、2012・2013年)、『近代日本の音楽百年』第1~4巻(岩波書店、2020年、第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞、日本ミュージック・ペンクラブ賞受賞)ほか。

内容

黒船来航から終戦までの約百年、日本の音の世界は西洋音楽の衝撃にさらされながら、静かに、しかししたたかに生き延びてきた。本書は「音楽」ではなく、あえて忘れられた言葉「音曲」を掲げ、町人の歌、糸竹の芸、在来の響きが近代国家や国民意識とどう交錯したのかを描き直す。洋高邦低の通史を離れ、現地から近代を聴き返す試み。
上巻では書名の「音曲」に込めた意味解説と、在来楽側からみた東京音楽学校史、そして「君が代」に代表される国の楽の文脈から類のない神聖国家のありようを考える。

目次

前 弾

 名乗り

第一章 音曲―お座敷、劇場、家庭
 第一場 お座敷にて
  第一節 三味線種目の概観
  第二節 お座敷芸の本場、花街
 
 第二場 劇場へ
  第一節 鑑賞の場をつくる
  第二節 演奏会の組織化(一)―長唄研精会
  第三節 演奏会の組織化(二)―美音会
 第三場 家庭へ―お稽古ごとの上品化

 一段目 上野体制の支流

第二章 邦楽調査掛―音曲の保存、鑑賞、古典化
  第一節 東京音楽学校の洋尊和卑―鳥居忱を例に
  第二節 伝統種目の発明、国楽の創成   
  第三節 古曲保存―録音と楽譜
  第四節 聴衆の開拓

第三章 東京音楽学校邦楽科―洋楽の殿堂の片隅で
  第一節 負の発端、音楽取調掛
  第二節 音楽学校のへりで―上野に響く邦楽器
  第三節 長唄新作「曙」―高野辰之、吉住小三郎、橋本国彦の合作
  第四節 邦楽科の創立
  第五節 琵琶界の不満

 二段目 国の楽、国の歌

第四章 国楽―建設すべき国と楽
  第一節 議論の発端―国づくり、楽づくり
  第二節 洋楽を国楽に―普遍性のなかの独自性
  第三節 抵抗する耳―音曲への抑えがたい親しみ
  第四節 既にある国楽―在来種目の再定義
  第五節 翼賛体制の下で

第五章「君が代」―国の賀歌百態
  第一節 国歌と国家
  第二節 「君が代」の別編曲
  第三節 斉唱、正唱、聖唱
  第四節 練習曲第一番「君が代」―器楽曲としての展開
  第五節 天子の歌、平民の歌
  第六節 菊とアンテナ
  第七節 「君が代」録音いろいろ

索 引

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