ムガイニョダイニ ショウガイトデンショウ

無外如大尼 生涯と伝承

中近世の女性と仏教

中世日本研究所 編

  • 体裁
    日英バイリンガル・B5判コデックス装・448頁
  • 刊行年月
    2024年05月
  • ISBN
    978-4-7842-2079-3

著者・編者略歴

ニューヨークのコロンビア大学から派生した独立研究機関。1968年にアメリカで設立。京都・奈良に残る尼門跡寺院に関する研究に取り組んでいる。

内容

女性と仏教の関係を考えるうえでもっとも重要な存在である無外如大尼(1223-1298)。円覚寺開山・無学祖元(1226-1286)の法を嗣いだ高僧であり、後世の尼僧たちに多大な影響を与え、今なお京都の尼門跡寺院がその法灯を継いでいる。
如大尼の生誕800年を記念して、日・米の研究者が謎多き無外如大尼の出自や人物像を明らかにし、女性史・仏教史の新たな研究成果として日本語・英語、完全バイリンガルで紹介する。
初掲載となる貴重な資料を多数オールカラーで収録。

★★★編集からのひとこと★★★
「尼門跡寺院の世界」展、昭憲皇太后大礼服研究修復復元プロジェクト等で知られる中世日本研究所が中心となって編集した論文集。ながらく誤った情報が流布してきた如大尼の真実を広く世界に知っていただくため、日・米の研究者の最新成果を完全バイリンガルでお届けします。本書で初公刊となる図版をオールカラーで多数収載しますが、特に徳巌理豊尼「胡蝶の夢語」(眞如寺蔵、巻物)をよく見ていただくために、水平にパタンと開くコデックス装という製本にしています。

本書の刊行までにはたいへんな時間と労力がかかっています。難解な仏教用語が頻出する複数名の研究成果をバイリンガルで刊行するにあたっては数々の困難がありましたが、バーバラ・ルーシュ氏(コロンビア大学名誉教授)の「本当の如大の姿を伝えたい」という強い思いが原動力となり、国境を越えた奇跡の本を刊行することが出来ました。ご協力いただいた寺院関係者様、文化財修復技術者様、デザイナー様、カメラマン様を始めとする、関わってくださった全ての方々に感謝いたします。

目次

無外如大尼生誕八百年に寄せて(臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺)
『無外如大尼 生涯と伝承―中近世の女性と仏教』刊行によせて(宝鏡寺門跡 田中惠厚)
「正脉庵」「眞如寺」の如大さん(相国寺派眞如寺住職 江上正道)

無外如大研究の今(モニカ・ベーテ)
第一章 無外如大と景愛寺(原田正俊)
 【史料一】理宝寄進状案/【史料二】如大譲状/【史料三】法衣相承次第/【史料四】東峯恵日尼置文/【史料五】春屋妙葩書状/【史料六】宝厳院主元宣書状/【史料七】仲方中正奉書/【史料八】仲方中正奉書/【史料九】比丘尼慈照譲状案/【史料十】正脈院子庭梵訓法衣預状
第二章 無外如大―当時を伝える言葉と物(モニカ・ベーテ)
第三章 無著―ひとりの女性としての存在(カレン・ゲーハート)
第四章 遠忌法要から見る如大尼鑽仰(パトリシア・フィスター)
第五章 無外如大伝の生成に関する基礎的考察(米田真理子)
第六章 無外如大―徳巌理豊による復興と再構築(モニカ・ベーテ/パトリシア・フィスター)
 【史料十一】景愛開山資寿願正脈剏建如大和尚伝/【史料十二】胡蝶の夢語/【史料十三】如大像真前壁面掛奉納額/【史料十四】松見寺記/【史料十五】如大禅師小伝
如大の人生を解きほぐす歓び(バーバラ・ルーシュ)

無外如大尼坐像(眞如寺)修復報告画像
謝辞/執筆者紹介

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