キンセイダイミョウケノコンイントサイショウセイ

近世大名家の婚姻と妻妾制

30s

清水翔太郎 著

  • 体裁
    A5判・314頁
  • 刊行年月
    2024年03月
  • ISBN
    978-4-7842-2070-0

著者・編者略歴

1989年、栃木県那須烏山市生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。東北大学学術資源研究公開センター史料館学術研究員を経て、2021年より秋田大学教育文化学部地域文化学科国際文化講座講師。専門は日本近世史、武家社会論。
主要論文に「近世中期における大名家の婚姻と幕府」(『日本史研究』738号2024年)、「19世紀初頭の秋田佐竹家における大名・家臣関係」(『秋大史学』第66号、2020年)など。

内容

二六〇余年にわたって泰平の世が続いたとされる江戸時代において、藩祖以来直系で家を継承できた大名家の事例は皆無に等しい。大名の子の短命化により安定した継承が極めて難しくなるなか、婚姻の実現と世嗣の確保は表向と奥向双方にとって重要課題となった。
本書は、これまで大名・藩研究が明らかにしてきた表向の政治構造と、ジェンダー史研究が明らかにしてきた奥向の実態とを統合し、一七世紀から一九世紀までの史料を元に、大名家における婚姻と家族構成員の実態を明らかにする。

★★★編集からのひとこと★★★
子どもの死亡率がきわめて高かった江戸時代。男と女は双方の役割を果たしながら様々な困難を乗り越え、「家」を繋いでいきました。
著者が膨大な史料でもって緻密に実証していく近世大名家政の実態は、現代において「婚姻」という言葉が連想させる甘いイメージとはかけ離れたものであり、近世日本において人々がどのような思いで「家」を存続させてきたのかを浮き上がらせます。
婚姻率の低下や少子化が問題となっている現代において、「婚姻とは何か」「家族とは何か」を、今一度考える手掛かりにもなる一書です。

目次

序章 本書の課題と構成
 一 近世大名家の婚姻に関する研究
 二 奥向研究と妻妾制
 三 城・武家屋敷の空間構造
 四 本書の課題
 五 本書の構成


第一部 近世大名家の婚姻

第一章 近世前期における国持大名家の縁組
 はじめに
 一 家光政権までの縁組成立の過程
 二 家綱政権期における「上意」と「内証」
 三 綱吉政権における縁組願
 四 婚姻範囲と婚姻時の年齢
 おわりに

第二章 近世中後期における大名家の婚姻
 はじめに
 一 一八世紀前半における展開
 二 一八世紀半ばから一九世紀初頭の展開
 三 将軍家の婚姻と大名家への影響
 おわりに

第三章 近世後期における大名の娘の年齢操作と婚姻
 はじめに
 一 秋田佐竹家における年齢操作
 二 会津松平家と彦根井伊家の婚姻における年齢操作
 三 年齢操作と婚姻
 おわりに


第二部 近世大名家における妻妾制の展開と奥向

第一章 近世前期における大名居城奥向の構成員とその処遇
 はじめに
 一 仙台城二の丸の造営と二代忠宗の庶出子
 二 三代綱宗と実母得生院
 三 綱宗の襲封による忠宗庶出子とその実母の処遇の変化
 おわりに

第二章 近世中期における大名の妻妾
 はじめに
 一 本妻の役割
 二 一八世紀初頭における妾の身上がり
 三 一八世紀後半における妾の身上がり
 おわりに

第三章 近世大名の幼少相続と「看抱」・後家
 はじめに
 一 天和期の「看抱」
 二 享保期の「看抱」
 三 「看抱」の役割とその意義
 四 幼少相続時の奥向
 おわりに

第四章  近世中期の大名家における妻妾制の展開─「御袋様」に注目して
 はじめに
 一 一七世紀半ばから一八世紀前半における妾の「身上がり」
 二 婚姻法と妻妾制
 三 一八世紀半ば以降の大名本妻と「側室整備」
 おわりに

補論  大名の相続・人生儀礼と家族構成員─秋田佐竹義真を事例に
 はじめに
 一 佐竹家の後継問題と佐竹義真の身分上昇
 二 嫡孫承祖と家督相続
 三 佐竹義真の嫡孫承祖をめぐる人びと
 おわりに

終章 総括と展望
 一 近世前期の婚姻と妻妾制
 二 近世中後期の婚姻と政治的意義
 三 大名の子の生命の弱体化と「家」の再生産

初出一覧/あとがき/索引

  • このエントリーをはてなブックマークに追加