セッカンインセイキケンキュウヲヨミナオス

摂関・院政期研究を読みなおす

有富純也 編

佐藤雄基 編

  • 体裁
    A5判・400頁
  • 刊行年月
    2023年11月
  • ISBN
    978-4-7842-2066-3

著者・編者略歴

有富純也…1974年生.東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了.博士(文学).成蹊大学文学部教授.主著『日本古代国家と支配理念』(東京大学出版会,2009年).

佐藤雄基…1981年生.東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了.博士(文学).立教大学文学部史学科教授.主著『日本中世初期の文書と訴訟』(山川出版社,2012年).

内容

摂関・院政期研究の現在を知るには何を読んだらよいのだろう?
摂関・院政期は、戦後歴史学において古代から中世への移行期として注目され、双方の研究者が各自の立場から研究を蓄積してきた。しかし、近年は両者の対話が十分にできておらず、議論が深まっていないのではないか。それゆえ、何が最新の研究成果で、どこに議論の余地があるのか、外からは見えにくくなっている。
こうした問題意識のもと、古代・中世を専門とする中堅・若手の研究者が、それぞれの専門から研究史を振り返り、混沌とした研究状況を整理して、研究の最前線と展望を示す。

★★★編集からのひとこと★★★
日本の歴史の特色は何かと問われて、すぐに思い付く答えの一つは、長期にわたり武家政権が続いたことです。その武家政権の揺籃期、すなわち日本史上の重要な画期こそ、本書が扱う摂関・院政期です。
ところが近年この時代は、研究者を志す学生たちにあまり人気がないとのこと。取っ付きやすい史料がない、いまや大御所といわれる先人たちに語り尽くされている気がする、新規参入を阻む壁はいろいろあるようです。本書はそうした状況を憂慮した気鋭の中堅・若手研究者による、研究史に学びながらも新たな展望を切り拓こうという試みです。
本書を読めば先行研究がわかるだけでなく、新たな研究のヒントがあちこちに隠れています。本書を読んでこの時代に参入する若い研究者が一人でも増えることを願っています。なお、『鴨東通信』117号には編者の対談が収録されていますので、ぜひご一読ください。

目次

総 論(有富純也・佐藤雄基)
第1部 社会・国家の変化
第1章 平安中後期の国家財政(神戸航介)
第2章 古代の集落は消滅したのか(有富純也)
第3章 荘園制成立史研究と摂関期の荘園研究(手嶋大侑)
第4章 「本所法」とは何だったのか―院政期と鎌倉期とのあいだ(佐藤雄基)
第5章 治承・寿永の内乱から生まれた鎌倉幕府―その謙抑性の起源(木下竜馬)

第2部 東アジアと政治文化
第6章 摂関・院政期仏教と東アジア(手島崇裕)
第7章 「国風文化」はいかに論じられてきたか(小塩 慶)
第8章 天皇の二面性とその分化明確化過程(井上正望)

第3部 貴族社会と新たな身分
第9章 摂関家はいかなる権力であるか―院政期の「権門」と「家」(海上貴彦)
第10章 摂関・院政期の女房と女官―階層秩序を中心に(岡島陽子)
第11章 技能官人編成試論―「官司請負制」以後(鈴木 蒼)
第12章 武士成立史研究の成果と課題(藤田佳希)
第13章 中世的身分のはじまり―種姓観念と家格(金 玄耿)

あとがき/研究者名索引/執筆者紹介

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