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近代日本経済の自画像

「西洋」がモデルであった時代

大島真理夫 著

  • 体裁
    A5判・570頁
  • 刊行年月
    2024年02月
  • ISBN
    978-4-7842-2065-6

著者・編者略歴

東京都生。1978年、大阪市立大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。大阪市立大学(現大阪公立大学)名誉教授。経済学博士。【主著】『近世における村と家の社会構造』(御茶の水書房、1978年)、『近世農民支配原則と家族・共同体』(御茶の水書房、1991年、増補版、1993年)。

内容

日本にとって西洋は明治以来、二一世紀にいたるまで、自国の立ち位置を確認する比較軸=分析モデルであった。しかし今日の世界を見渡すと、そうした時代は終焉を迎えたようである。本書は、過去一五〇年にわたる日本の自国認識の変遷を「西洋がモデルであった時代」ととらえることで見えてくるものを探ろうとする試みであり、求められる新たな自画像を地に足の着いたものにするために不可欠な基礎作業を提示する。

目次

序 章 自国認識の形成
 第1節 西洋の世界支配
 第2節 近代日本と西洋モデル
 第3節 本書の構成

第Ⅰ部 自国認識の変遷

[第1章]第一期(1858~1886年)=「半開国」という扇動と複数の自画像
 第1節 時代状況―「扇動」の意味―
 第2節 経済・社会の実態と「新政府史観」の作為
 第3節 文明史の方法と江戸時代像
 第4節 外国貿易の評価―悲観論と楽観論―

[第2章]第二期(1886~1905年)=共有された「文明国」の自信
 第1節 企業勃興期のブームとその評価
 第2節 「文明」段階への到達宣言
 第3節 西洋と日本の共通性と「日本」への自信
 第4節 「明治青年」の歴史的位置―ケネス・パイル、鹿野政直、色川大吉―
 第5節 日清戦争の影響

[第3章]第三期(1905~1931年)=「一等国」の自負心とその動揺
 第1節 「一等国」という自国認識
 第2節 日露戦後の対日感情悪化―カール・クロウの日本脅威論と「二十一ヶ条要求」批判―
 第3節 1920年代日本の「行き詰まり」
 第4節 1914年の歴史的位置―ヨーロッパと日本―

[第4章]第四期(1931~1945年)=自作した「孤立国」の焦燥
 第1節 時代の転換―世界と日本―
 第2節 孤立国という選択と経済成長の時代
 第3節 思想界の動揺―猪谷善一・黒正巌・マルクス主義―
 第4節 冷静な立場―竹越与三郎・石橋湛山―
 第5節 日中戦争からアジア太平洋戦争へ
 第6節 第二次世界大戦の本質

[第5章]第五期~第八期(1945~2008年)と「現代」=戦後日本経済の歴史像
 第1節 戦後日本経済の歴史像(1945年~現在)
 第2節 第五期(1945~1955年)=「敗戦国」の希望
 第3節 経済成長の概観―第六期~第八期と「現代」―
 第4節 第六期(1955~1973年)=「高度成長国」の戸惑いと自信
 第5節 第七期(1973~1991年)=「経済大国」の過信
 第6節 第八期(1991~2008年)=「ゼロ成長国」の挫折感
 第7節 「現代」(2008年~現在)=「安定停滞国」のわずかな自信回復

第Ⅱ部 自画像変遷の点描

[第1章]田口卯吉の外国貿易論(第一~二期、幕末開港~明治期外国貿易の評価)
 第1節 田口卯吉評価への視角
 第2節 田口の貿易理論
 第3節 リカード比較生産費説批判
 第4節 田口説に基づく明治貿易史の説明

[第2章]日本経済史学の成立・展開と黒正巌(第二~三期、日欧発展の並行性の認識)
 第1節 成立期日本経済史学の歴史認識
 第2節 黒正巌(1895~1949)の時代―「大正の青年」とその危機―
 第3節 黒正日本経済史学の展開
 第4節 黒正巌の到達点

[第3章]1920年代の猪谷善一(第三期、「新自由主義」の主張)
 第1節 猪谷善一の略歴
 第2節 留学前の研究(1928年まで)
 第3節 猪谷善一の思想史的位置

[第4章]1930年代の猪谷善一(第四期、全体主義への転換)
 第1節 ジュネーヴでの衝撃
 第2節 リベラリズムの動揺
 第3節 ブロック経済、統制経済の主張
 第4節 日本資本主義認識の変化と持続
 第5節 思想転換の要因とその評価

[第5章]遠景としての日本資本主義論争(第四期、後進性認識の深化)
 第1節 日本資本主義論争の概要と方法論的特徴
 第2節 論争における歴史的後進性認識の深化 
 第3節 論争におけるアジア認識の継続
 第4節 先進-後進関係認識の相対化に向けて
 第5節 国家と経済の関係理解の転換へ

終 章 自画像変遷の位相
 第1節 本書が強調したいこと
 第2節 ホブズボームとの対比 
 第3節 世代論として読み替える
 第4節 新しい参照軸に向けて

あとがき

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