メイジイシントタイシュウブンカ

明治維新と大衆文化

瀧井一博 編

アリステア・スウェール 編

  • 体裁
    A5判・336頁
  • 刊行年月
    2023年04月
  • ISBN
    978-4-7842-2057-1

著者・編者略歴

瀧井一博(たきい・かずひろ)…1967年生。京都大学大学院法学研究科単位取得退学、博士(法学)。国際日本文化研究センター教授。
主要著書:『大久保利通―「知」を結ぶ指導者』(新潮選書、2022年)、『「明治」という遺産 : 近代日本をめぐる比較文明史』(編著、ミネルヴァ書房、2020年)『伊藤博文―知の政治家』(中公新書、2010年)

Alistair Swale(アリステア・スウェール)…1963年生。京都大学大学院法学研究科博士課程、博士(法学)。Associate Professor, Japanese Programme, University of Canterbury, New Zealand.
主要著書:"Public Speaking and Serialized Novels: Kōdan and Social Movements in Early Meiji Tokyo." (Japanese Studies, vol. 41, no. 3, pp. 343-360. 2021), The Meiji Restoration: Monarchism, Mass Communication and Conservative Revolution (Palgrave Macmillan, 2009).

内容

明治新政権の成立後、文明開化は日本社会のキーワードとなった。それは上からの改革であると同時に、新しい時代の「大衆」による下からの開化の幕開けであった――。
文芸や雑誌、錦絵新聞といった明治初期の日常生活に密接したメディアを題材としてとりあげ、それらの江戸文化からの連続性を見据えながら、開化の源流を問い直す。

★★★編集からのひとこと★★★
明治政府のうち出した文明開化という国策、いわば「上からの改革」は、ともすれば従来の江戸文化の流れを分断したかのように捉えられることがあります。
しかし、必ずしもそうではないと、江戸と明治の連続性を論じる点に本書のひとつの特徴があります。江戸文化を支えてきたクリエイターたちは、明治の世でいったいどうなったのか。また、大衆の享受する文化にとって明治維新とはなんだったのか。
12本の多彩な論文で、その実態に迫ります。

目次

はしがき

第Ⅰ部 明治型「大衆」の誕生
第1章 明治国民の文明開化―「進歩」の大衆化(アリステア・スウェール)
第2章 愚民の造型(松田宏一郎)
第3章 明治期における剣術の大衆化(アレキサンダー・ベネット)

第Ⅱ部 江戸文化と明治文化の接点
第4章 戦争報道メディアとしての錦絵(菅原真弓)
第5章 「著作道書キ上ゲ」後の条野伝平(山々亭有人)の実と虚の著作(土谷桃子)

第Ⅲ部 明治中期の新聞・小説
第6章 明治期の小新聞と政党機関紙―『改進新聞』を中心に(土屋礼子)
第7章 蘭文脈から読む『新未来記』―明治日本におけるSF小説の誕生?(大久保健晴)
第8章 歓迎された偽史(百瀬響)

第Ⅳ部 国制における知識通路の培
第9章 大久保利通と博覧会(瀧井一博)
第10章 言語・メディア・外交―明治期における日本外交官の英語習得と対外発信(奈良岡聰智)

第Ⅴ部 「国史」を大衆に訴える
第11章 明治初期の伝記の変容とメディア(森岡優紀)
第12章 大日本山林會におけるメディア活用術―近代博覧会事業を中心に(岡本貴久子)

紹介媒体

  • 『山林』No.1670

    2023年7月

    新刊図書紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加