著者・編者略歴

1956年生。1981年、関西学院大学大学院文学研究科博士課程前期課程(美学専攻)修了。同年、文化庁文化財保護部美術工芸課文部技官に就任。1990年、京都国立博物館へ転勤、学芸課主任研究官,工芸室長を務める。1994年~2001年京都大学大学院人間・環境研究科教官を併任。2001年4月より関西学院大学文学部教授。論文「南宋絹織物にみる二、三の特色について」において國華賞授賞。

内容

人はなぜ装うのか。
衣服は体温の調節や身体の保護という実用性のみならず、装う者の身分や帰属の表示、自己の表現など様々な役割をもつ。服装は社会のなかで生まれ、他者の視線と自己の意識によって変化し、時に制度となり、あるいは時世粧となって歴史のなかに刻まれてきた。絵画に描かれた服飾を読み解き、その服飾を彩る織りや染めの技法を解明し、文様の意味を問えば、それを着る人の立場や時代背景、ときには心情までもがみえてくる。
将軍・僧侶・姫君から通人まで、日本人はどのような服を装ってきたのか。歴史をつうじて服飾のもつさまざまな意味を探る。

★★★編集からのひとこと★★★
署名も無く、箱書も無く、誰が身に着けたのかわからない。謎だらけの染織品の数々を追いかけた著者の40年の研究生活のの集大成。美麗な染織品の姿がよく伝わるよう、図版はオールカラーです。美術史の中でもマイナーな分野である染織史は、研究者も少なく類書もあまりありません。この1冊から踏み込んでみませんか。

目次

はじめに

第一章 和の装い―四季をまとい、常盤をねがう
第二章 仏法を装う―請来された高僧の袈裟 
第三章 裂の装い―茶席に彩りをそえる名物裂
第四章 外交の装いⅠ―足利義満の「日本国王」冊封
第五章 外交の装いⅡ―龍になれなかった豊臣秀吉
第六章 姫君の装い―桃山時代の華麗なる服飾
第七章 傾く装い―片輪車の文様史
第八章 花洛の装い―東福門院の小袖から友禅染まで
第九章 物語る装い―『源氏物語』と『伊勢物語』を模様にした小袖
第十章 「いき」に装う―江戸に生まれた服飾美

おわりに

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