令和5年度 歌舞伎学会奨励賞 受賞

著者・編者略歴

1990年生。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。京都大学人文科学研究所助教。主な論考「「夢物語盧生容画」考:明治歌舞伎の〈改良〉と〈懐古〉」(『演劇学論集 日本演劇学会紀要』70号、2020年)、「追善公演の史的展開とその意味」(『歌舞伎:研究と批評』67号、2022年)など。

内容

維新後に到来した文明開化期から、日本文化の保存の風潮が漂った明治末期までの激動の時流の中で、歌舞伎はどのような変化を迎えたのか。
明治に入ってからも依然として「当代劇」として機能していた歌舞伎は、時に強制的な圧力によって改良され、時に自発的に変化し、やがて現代において認識されるような「伝統劇」へと変貌を遂げた。その質的変化の背景には、役者・狂言作者・興行主の意志はさることながら、政府高官や知識人らの政治的利害関係や思想が複雑に交錯している。
本書では、明治という前例のない大変革期における歌舞伎界の動向を「江戸懐古」「脚本改良」「高尚化」という三つの視座から分析し、近世から近現代まで四百余年に至る歌舞伎史のなかで、明治期歌舞伎が占める位置を明らかにする。

目次

はじめに―当代劇から伝統劇へ

第一部 明治期黙阿弥作品における江戸懐古
第一章 「富士額男女繁山」考―「孝女お竹」「桜姫東文章」の再利用
第二章 「月梅薫朧夜」考―「愛想づかし」の変容
第三章 「夢物語盧生容画」考―明治期歌舞伎の「懐古」と「改良」

第二部 明治期歌舞伎の脚本改良
第一章 史劇改良の萌芽―依田学海・川尻宝岑合作『吉野拾遺名歌誉』『文覚上人勧進帳』                                  
第二章 福地桜痴の近松浄瑠璃改作―「十二時会稽曾我」における演劇改良の実践論
第三章 坪内逍遥の史劇改良―『桐一葉』『沓手鳥孤城落月』における「型」の破壊

第三部 明治期歌舞伎の高尚化
第一章 九代目市川団十郎と歌舞伎の「古典化」―天覧劇と「勧進帳」
第二章 新古演劇十種からみる五代目尾上菊五郎の「家」意識
第三章 追善公演の史的展開とその意味                    

おわりに―「古典歌舞伎」への道

参考文献/初出一覧/あとがき/索引

紹介媒体

  • 『週刊読書人』

    2023年7月28日

    寺田詩麻

    2023年上半期の収穫から

  • 『演劇学論集 日本演劇学会紀要』78号

    2024年6月

    村島彩加

    書評

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