内容

釈迦の「生」は、いかに捉えられてきたか。
仏伝(釈迦の一代記)の物語、その舞台となった聖地、釈迦関係の聖遺物などにまつわる仏教徒の営為と文物の関係を、具体例に即して検証し、歴史上に位置づける。第一線の研究者13名が、釈迦イメージの形成・継承・変容の様相を横断的に浮かび上がらせ、新たな研究視点を提示する共同論集。

★★★編集からのひとこと★★★
仏教美術史分野の国内外トップランナーが集結し、古くから繰り返し美術作品に表されてきた釈迦の誕生から死までの姿を、様々な角度から論じます。インドから近代日本まで広い射程を持ちつつも、単なる作品論にとどまらない議論の連続は読む者を圧倒します。
カバーの表面には釈迦の生涯の主要な四場面が示され、裏面は棺から身を起こした釈迦が母と再会する感動の場面で閉じられます。装丁が象徴するように、この本自体が「釈迦の生涯を表し、語り継ぎたい」という、古来から絶えることなく引き継がれてきた思いが具現化したものです。なかなかの「難産」だったため誕生に立ち会った立場からしても思い入れの強い一冊となりました。長く読み継がれることを祈ります。

目次

『釈迦信仰と美術―作品解釈の新視点』序説(稲本泰生)

第Ⅰ部 釈迦の生涯をたどる―仏伝と仏蹟巡礼の美術

いわゆる「仏陀なき仏伝図」に表現されたブッダと声聞乗(有部および大衆部)の仏身論について(外村中)
南アジア初期仏教美術における聖地表象―仏伝図との関係を中心に(島田明)
ガンダーラ地方における初期の仏伝図の探究―ラニガト寺院址出土浮彫画像帯の分析から(内記理)
聖地と光の幻影―女神マーリーチーをめぐって(マイケル・ウィリス)
安塞大仏寺四号窟における図像構成の意義と北朝期の仏伝表象(稲本泰生)

第Ⅱ部 釈迦の姿をあらわす―仏のかたち人のかたち

佛從何出生―ブッダイメージの中国化と二元化(岩井共二)
草座釈迦像とその儀礼―宋元江南仏教儀礼の中世日本への伝播(西谷功)
一休宗純賛「苦行釈迦図」(京都・真珠庵)の図像的淵源(板倉聖哲)
天平様式観の形成―日本古典美術の構築と受容(中野慎之)

第Ⅲ部 釈迦の不在をこえる―涅槃表現の諸相

初唐期及び奈良時代の涅槃表象と涅槃観(田中健一)
「応徳涅槃図」再考―原本の存在とその絵画史的位置(増記隆介)
京都国立博物館蔵釈迦金棺出現図に関する諸問題―主題の観点を中心に(大原嘉豊)
達磨寺所蔵仏涅槃図考―釈迦の姿形と賛文を中心に(谷口耕生)

あとがき/執筆者一覧

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