中国古代茶文化史
定価
9,900 円(税込)
本体 9,000円
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著者・編者略歴

関剣平(Guan Jianping)
1962年瀋陽に生まれる。1985年上海師範大学古籍整理研究所助手、2000年立命館大学大学院文学研究科修了、博士(文学)を取得。南開大学、浙江樹人大学などを経て、現在は浙江農林大学文法学院茶文化専攻主任教授。専攻は中国飲食文化史。

内容

非アルコール飲料の代表的なひとつとして、いまや世界的文化を形成している茶。その源である中国茶文化はいかにして発展したのか。中国茶文化成立期に当たる魏晋南北朝時代を基盤にして、さらに遡りその淵源に迫る。

美を追求した魏晋南北朝時代、茶は風流という時代の精神を象徴し、「茶宴」という新しいライフスタイルを唱導した。茶は決して独立したものではなく、ひとつの文化的媒介として時代時代の伝統文化を蓄積しているのである。

本書では、これまでほとんどの茶史研究者が触れることのなかった広範な史料を用い、世に知られている茶史関連史料の新たな解釈を試みた。そこからは、茶と当時の文化体系との関わりが鮮明にみえてくるだろう。

【担当編集者より】
昨今、社会問題となっている食品ロス。日本でも中国でも、往々にして「食べきれない」ほどの料理でお客様をもてなすのが文化とされますが、その一方で古代中国には質素・倹約を風流とする「茶宴」という風習があったこと、その洗練された文化に驚かされます。

第四章には茶宴で供された料理の材料や調理法が事細かに記され、当時の人々が如何に
交友の場としての茶宴を重視し、お茶に情熱を傾けたかが見て取れる興味深い一冊です。

目次

序章
 第1節 歴史上の認識
 第2節 先行研究成果の分析
 第3節 本書の視角と構成

第一章 茶文化の起源―薬から嗜好品への道
 第1節 茶文化の起源
 第2節 製茶技術について
 第3節 炮炙技術からみる製茶
 第4節 製剤技術からみる茶の点て方
 第5節 本草学における茶の確立の経緯と原因
 第6節 喫茶と道教服食との意識の比較―喫茶の成立における道教の影響
 第7節 むすび

第二章 茶文化の広がり〈階層篇〉
 第1節 魏晋の風流と喫茶
 第2節 茶の精神―倹
 第3節 宮廷・官僚の喫茶
 第4節 道士・僧侶・庶民の喫茶
 第5節 むすび

第三章 茶文化の広がり〈地理篇〉
 第1節 先行研究
 第2節 茶の生産地
 第3節 喫茶の地域
 第4節 北方と南方の喫茶―むすびにかえて

第四章 茶宴の誕生
 第1節 茶宴の語源
 第2節 酒宴における茶
 第3節 茶宴の誕生
 第4節 茶宴の社会的基盤
 第5節 魏晋南北朝の料理概観
 第6節 果実類の茶果
 第7節 果菜類の茶果
 第8節 穀物製品と茶果
 第9節 むすび

第五章 茶器、および茶器に見る茶の精神
 第1節 茶筅の起源
 第2節 早期越窯の青磁と茶托の起源
 第3節 茶杓と茶湯の加工法
 第4節 茶の精神―倹
 第5節 むすび

第六章 「セン賦」から見る晋代の喫茶
 第1節 杜育および「セン賦」の背景
 第2節 「セン賦」について
 第3節 むすびにかえて―「セン賦」および『茶経』の内容構成の比較
   ※「セン」は艸冠に舛

終章

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