内容

万博学、それは万国博覧会という研究対象を通じて可能になる、大きな学際的人間学の営みである。

19世紀半ばに始まり、今日につづく世界最大の公式催事―、
本書は32本の論考で、万国博覧会のさまざまな側面に着眼し、掘り下げたその先に、人類世界の歩みを浮き彫りにする。

万国博覧会とは「世界を把握する方法」なのだ。

【担当編集者より】
なんとも仰々しいタイトルを持つ本書は、足掛け10年に及ぶ共同研究の2冊目の成果です(1冊目は『万国博覧会と人間の歴史』)。本書は、単に研究会のメンバーの研究成果を披露するだけでなく、研究会が新たに打ち出そうとする「万博学」なる学問を体現してもいます。ほぼ時代順に配列された大小32本の論文やコラムは、興味を持った章から読むもよし、前から順に読むもよし、読みどころはさまざまです。しかし読み進めていただければ、書名の意味するところはきっとご理解いただけると思います。
わたしは本書を読み、万国博覧会とはその時々の世界を映す鏡である、という思いを強くしました。果たして2025年の大阪・関西万博が映す世界とはどのようなものでしょうか。

目次

序説・万国博覧会という、世界を把握する方法(佐野真由子)

万国博覧会と「ピアノ」の誕生(井上さつき)
新興産業としての七宝業と博覧会―技芸と技術と近代工芸(武藤夕佳里)
勧農開物翁の幕末・明治―田中芳男と博覧会・博物館(沓名貴彦)
万国博覧会とオスマン帝国人の世界観(ジラルデッリ青木美由紀)
渋沢栄一と万国博覧会―パリ万博(1867年)からパナマ太平洋万博(1915年)まで(関根仁)

【BIEの設立と万博の20世紀】
国際博覧会の歴史に博覧会国際事務局(BIE)が果たした役割(岩田泰)
フランスと1928年国際博覧会条約(寺本敬子)
紀元2600年記念日本万博の計画とその周辺―1930年代の国際博覧会日本展示をめぐる連続性(増山一成)
戦時宣伝と写真壁画―山端祥玉と1939年ニューヨーク万国博覧会の《躍進日本》を中心に(白山眞理)
万博日本館にみる「展示デザイン」の変遷(構成・執筆 執行昭彦、森誠一朗、岸田匡平)
ポストコロニアル時代のアイデンティティ・ポリティクスと万国博覧会におけるフィリピン館 1958-1992(エドソン・G・カバルフィン)
[コラム]モントリオールの困惑―1967年博の日本館展示問題(市川文彦)

【特集 1970年大阪万博】
[コラム]大阪万博への飛翔(清水章)
1970年大阪万博の基本理念―「万国博を考える会」による草案作成の背景と経緯(五月女賢司)
昭和天皇と万国博覧会(牧原出)
リニアと原爆―大阪万博日本館における科学技術展示の生成(有賀暢迪)
大阪万博における企業パビリオンのブループリント(飯田豊)
1970年日本万国博覧会における仏教的造形物の役割(君島彩子)
1970年キリスト教界における戦後主体性論争―大阪万博キリスト教館と万博反対運動(増田斎)
建築家と万国博覧会―EXPO'70の黒川紀章から考える(井上章一)
1970年日本万国博覧会の先進性と評価をめぐって―産業技術史の視点から(橋爪紳也)

【世界を映し続ける万博】
《堺屋太一オーラル・ヒストリー》
万博に戦後史を読む―沖縄海洋博(1975年)を中心に(聞き手:牧原出、佐野真由子)
沖縄国際海洋博覧会と沖縄観光(神田孝治)
展示装飾業からディスプレイ業へ―大阪万博前後からの展開(石川敦子)
万国博覧会に関する来場経験者の長期記憶―モントリオール、大阪、バンクーバー、ブリスベン、愛知の万博を題材に(清水寛之、デイヴィッド・アンダーソン)
[コラム]上海万博の「セルヴィス・ルソー」―グローバル・アート・ヒストリーへの階梯(鵜飼敦子)
物語作りとデザイン―ミラノ万博(ウィーベ・カウテルト)
博覧会の「ゆきさき」を考える―博覧会をつくる現場から(澤田裕二)
万博における中国要素(プレゼンス)(江原規由)
万国博覧会の遺産としての博物館―夢の後始末をめぐって(中牧弘允)
近代博から現代博への運営システム転換 1851~2017―褒賞制・売却制・展示法に映った<世界>(市川文彦)


あとがき
研究会の記録
索引(博覧会/人物)
執筆者紹介
英文目次

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