日本書紀1300年史を問う
定価
9,350 円(税込)
本体 8,500円
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内容

古代から近現代に至るまで、日本書紀を読むという行為は、その時代固有のあらたな「歴史」や「神話」を創造していく、能動的な知の運動であった。
日本書紀編纂より1300年を迎えたいま、国文学、歴史学、神話学、思想史研究などの多領域から、日本書紀の受容史を問い直す。

【担当編集者より】
『日本書紀』は長年、日本の正史として読まれてきました。しかしその内容は難しく、多くの人は訳や解説なしに理解できません。1300年読み継がれてきた『日本書紀』の解釈は、時代や人によってあまりに多様で、ときには荒唐無稽との誹りをうけるものもあったとか。はたして、私がいま読んでいる『日本書紀』にはどのような時代性が反映され、後の世にどう評価されるのでしょうか。
その受容史を通して、当時の思想や時代背景を繙き、あらためて『日本書紀』の重要性を問い直します。

目次

序章(斎藤英喜・山下久夫)

Ⅰ 古代
第1章 成立前後の日本書紀(関根淳)
第2章 天文異変と史書の生成―舎人親王の作品としての『日本書紀』―(細井浩志)
第3章 日本書紀と殯宮儀礼―モガリ(殯)のアルケオロジー―(呉哲男)
【研究ノート】日本書紀とシャーマニズム(アンダソヴァ・マラル)

Ⅱ 中世
第4章 『釈日本紀』、『日本書紀纂疏』から『神書聞塵』へ―中世における〈注釈知〉の系譜をもとめて―(斎藤英喜)
第5章 『八幡宇佐宮御託宣集』の「神代」と「日本紀」(村田真一)
第6章 伊勢の日本紀―道祥と春瑜の『日本書紀私見聞』をめぐって―(星 優也)
第7章 神仏を生む中世の神代巻―大日■(雨+口口口+女)貴から天照、大日霊から大日如来へ―(松本郁代)
第8章 中世神学と日本紀―13~14世紀における至高の神と霊魂の探求―(小川豊生)
【研究ノート】スサノヲの「悪」をめぐって―『釈日本紀』から『日本書紀纂疏』の変遷を考える―(鈴木耕太郎)

Ⅲ 近世
第9章 「附会」と「考証」のあいだ―垂加神道の『日本書紀』解釈―(齋藤公太)
第10章 忌部正通『神代巻口訣』と忌部神道(伊藤聡)
第11章 近世儒者の神代巻批判と「神道」「上古」―鈴木貞斎に即して―(松川雅信)
第12章 宣長『古事記伝』と重胤『日本書紀伝』―起源神話の創造として―(山下久夫)
第13章 近世日本における「天壌無窮の神勅」観(前田勉)

Ⅳ 近現代
第14章 初期ジャパノロジストと日本書紀の翻訳(平藤喜久子)
第15章 教派神道の『日本書紀』解釈と朝鮮布教―佐野経彦の「建白書」を中心に―(権東祐)
第16章 読み替えられた『日本書紀』の系譜と折口信夫(斎藤英喜)
第17章 近代歴史学のなかの『日本書紀』―建国神話を中心として―(田中聡)

紹介媒体

  • 『日本文学』VOL.70

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