能管の演奏技法と伝承
本体価格
8,000 円(税別)
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著者・編者略歴

もりた・とき…1976年、神奈川県生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。同大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽学)。日本学術振興会特別研究員等を経て、現在、京都造形芸術大学准教授。

内容

 六百余年もの長きにわたってわが国で伝承されてきた演劇、能。能の楽器の中で唯一の管楽器である能管(笛)は、物語の情景を彩る重要な存在でありながら、その演奏技法がいかにして形成されたかについての先行研究は少なく、未解明な点が多い。
 本書は、室町時代末期から昭和期までの唱歌譜の解読と、近現代の演者の演奏技法の分析を通して、能管を中心とする能楽の演出の形成過程を歴史的に解明しようと試みるものである。
 これまでは制度や演能実態などの社会的側面にばかりが注目されがちであった能研究の歴史に、音楽学の専門家である筆者が、演奏実践の観点から新たな1ページを刻む。

【担当編集者より】
 著者が研究のため足しげく能楽堂に通っていた同じころ、担当編集はその裏にある学校の教室で、能管の幽玄なる響きを聴きながら眠りこけていました。大人になってから「あの時のあの音」を懐かしく思い出すようになりましたが、考えてみると、西洋のような五線記譜法を持たない和楽器は、一回性のものである音楽をどのように伝えてきたのでしょうか。本書はまさに「あの当時のあの音」はどんなものだったのか、そして、どのように伝承されてきたのかという難題について、暗号のような文字の羅列である唱歌(しょうが)譜を分析することで解き明かそうと試みた意欲作です。絶対音感を持ち、実際に楽器を嗜む著者だからこそうまれた一冊です。

目次

凡例

序 章  
はじめに
一 研究史と視点
二 研究の目的
三 各章の概要

第一章 演奏技法の概要
はじめに
一 現行三流儀の消長
二 常用曲目の特徴
三 現行唱歌譜
四 唱歌の仮名表記にみる流儀の特徴

第二章 演奏体系
はじめに
一 唱歌と声のイメージ
二 現行の演奏体系
三 実演奏におけるヴァリエーションの広がり
おわりに

第三章 演奏技法の形成と伝承――一噌流宗家伝来の唱歌譜にみる
はじめに
一 一噌流宗家伝来の唱歌譜
二 唱歌譜の規範化に見る流儀の形成
三 唱歌の仮名表記の変容と演奏技法の形成

第四章 演奏技法の地域展開――江戸時代中・後期の仙台藩一噌流を事例に
はじめに
一 仙台藩の一噌流と伝存唱歌譜
二 〔盤渉楽〕と〔猩々乱〕にみる演奏技法の特徴
おわりに

第五章 演奏体系の変容―一噌流を事例に
はじめに
一 唱歌の音楽実体に対する拘束性の形成
二 旋律型の形成と演奏体系の変容
おわりに

終 章


あとがき     
索引

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