コウテイ ゲンポン コガビコウ

校訂 原本 古画備考(全5巻)

古画備考研究会 編

  • 体裁
    A5判上製函入・総3,224頁
  • 刊行年月
    2022年02月
  • ISBN
    978-4-7842-1920-9

2022年11月 第2刷

内容

岡倉天心の座右にもあった、江戸時代の『古画備考』原本の姿を忠実に再現。
近代に編集された『増訂 古画備考』を大胆に革新。
現代の視点から、美術史成立前夜における江戸の学知の達成を世に問い直す、古画備考研究会による永年の成果がここに完結。
『古画備考』は、江戸幕府お抱えの奥絵師、木挽町狩野家に生まれた朝岡興禎(1800~56)が、絵画鑑賞に資するため、多年苦心研鑚の末編纂した一大著述で、古美術研究の基本書として不朽の名著である。

◎東京藝術大学附属図書館蔵、朝岡興禎編著『古画備考』巻一~四十八(嘉永3=1850年起筆)を底本に、朝岡自筆の縮図、印章、署名等の画像とともに全翻刻、項目索引を付す。
◎原本に含まれない巻四十九~五十一は東京国立博物館蔵『古画備考』(図書寮印本)を底本に同様の校訂を行う。
◎太田謹増訂本(明治36=1903年初版、明治45=1912年校訂増補第二版、弘文館刊/昭和45=1970年復刻、思文閣刊)と、その底本である東京国立博物館蔵本(図書寮印本)より校合を行いその校異を註に記載。

★★★担当編集からのひとこと★★★
『原本『古画備考』のネットワーク』刊行から10年を経て、ついに待望の本書が刊行しました。各巻は配色の異なるシルク表紙で、黒と表紙と同色の、2本の栞紐が付いた典雅な装丁です。

本書中の書写図について、増訂本の解題で太田謹は「木版ハ韻致雅趣ヲ発揮シ得ヘキニアラス」として、以前から出回っていた杜撰なものよりは原本を彷彿させるものになった、と書いています。当時の技術で精細な図の部分をいかに原本に近づけるか苦心していたことがうかがえますが、本書ではこの、明治期からの悲願の一部が達成されました。
翻刻書に「完成」はなく、本書はあくまでも現時点における達成です。これから先の、幅広い分野に開かれた研究起点の書として、また基礎的参考書として、末永くご愛顧いただけることを信じています。

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