描かれた祇園祭
定価
16,500 円(税込)
本体 15,000円
在庫状況: 在庫あり

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第14回林屋辰三郎藝能史研究奨励賞

著者・編者略歴

はったん・ゆうたろう…1972年宮崎県生。関西学院大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程満期退学。現在、頴川美術館学芸員。著書に『祇園祭・花街ねりものの歴史』(共著 臨川書店 2013年)など。

内容

 平安期に創始された祇園祭は、応仁の乱や天明の大火などで順延、中止された期間を除き、現在まで挙行され続ける祭礼である。その歴史に呼応するかのように、祇園祭を主題に描かれた絵画作品は数多く、洛中洛外図なども含めれば近世以前だけでも200点をくだらない。しかし、その膨大さゆえに、今までの研究には祇園祭の全体を見渡す視点が大きく欠落していたといわざるを得ない。
 本書は、祇園祭の山鉾巡行ならびに江戸の中期に始まる神輿洗のねりものを描いた絵画作品、つまり「描かれた祇園祭」から、その祭儀の変遷を読み解こうと試みる一書である。

【担当編集より】
 伝統文化を大切にしてきた京都ですが、祇園祭のかたちは数百年の時を経て変化しています。巡行する山鉾の中には断絶したものがあり、かつて神輿洗いの日に行われていた芸妓による仮装行列「ねりもの」も現在は中絶しています。本書は山鉾巡行・祇園ねりものについての600点を超える資料図版を収載しており、そのうちの多くは著者がたいへんな情熱をもって収集した私物です。約5センチの厚さを誇る本書は、失われた祭儀の一部がいつか復活するときに貴重な手掛かりとなるに違いありません。

目次

序 章

【山鉾巡行篇】
第一章 祇園祭礼図の系譜と特質
第二章 神宮文庫蔵「祇園祭之図」について―祇園祭礼図の成立に関する試論―
第三章 サントリー美術館蔵「日吉山王・祇園祭礼図屏風」再考
第四章 出光美術館蔵「祇園祭礼図屏風」小解―補筆による鉾頭改変を手掛かりに―
第五章 大阪歴史博物館蔵「祇園祭礼図屏風」研究序説―秀吉思慕の祇園祭礼図―
第六章 京都国立博物館蔵「祇園祭礼図屏風」の史的位置
第七章 「天下祭・祇園祭図屏風」について
第八章 横山華山筆「祇園祭礼図巻」研究-「近世後期風俗画」の新地平-
第九章 京都市立芸術大学芸術資料館蔵「祇園祭鉾調巻」について―新出の横山華山筆「祇園祭礼図巻」画稿の紹介をかねて―
第十章 描かれた鷹山―鷹山保存会蔵「祇園会太郎山人形写生画幅」の紹介をかねて―
第十一章 河辺華挙筆「地獄祭礼図巻」画稿について―祭礼図と地獄絵の親和性―
第十二章 明治二十六年、山鉾は岡崎をめざす―新出の「明治廿六年岡崎大極殿四回博覧会地鎮祭の時地かための為め引出せしの時の写真」の紹介をかねて―

【祇園ねりもの篇】
第一章 もう一つの祇園祭〈祇園ねりもの 近世篇〉
第二章 宝暦五年刊『祇園ねり物絵づくし』から読み解く祇園ねりもの
第三章 國學院大學博物館蔵「京祇園会ねり物大ミセ姿」について―祇園ねりものを描く摺物の予定稿と決定稿に関する一試論―
第四章 横山華山筆「祇園祭礼図巻」図解―祇園ねりものの描写を中心に―
第五章 万延元年の祇園ねりもの―「祇園奉能御千度里の賑ひ」と「祇園御千度さとの賑ひ」の紹介をかねて―
第六章 もう一つの祇園祭〈祇園ねりもの 明治篇〉
第七章 都をどりと祇園ねりもの―昭和五年の「園の賑」をめぐって―
第八章 もう一つの祇園祭〈祇園ねりもの 戦前篇〉
第九章 もう一つの祇園祭〈祇園ねりもの 戦後篇〉

終 章

初出一覧/あとがき/参考文献/索引

紹介媒体

  • 「毎日新聞」朝刊

    2018年3月4日

    地域面(京都)「活字を楽しむ 京都読書之森」

  • 「京都民報」

    2018年7月15日

    「論壇・オピニオン」著者インタビュー

  • 『芸能史研究』第223号(平成30年10月)

    2018年10月20日

    河内将芳

    書評

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