地域名菓の誕生
本体価格
8,000 円(税別)
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著者・編者略歴

はしづめ・のぶこ・・・奈良女子大学大学院家政学研究科修士課程修了.博士(学術,奈良女子大学).現在、同志社大学経済学部非常勤講師、京都府立大学非常勤講師、同京都和食文化研究センター共同研究員.

内容

日本各地にある地域名菓は、われわれにとってごく身近な存在でありながら、その成立の背景について研究した書籍はこれまでなかった。本書は、近世に完成した日本固有の菓子が、近代以降に社会の変動や異文化との接触をへて変化し、新たな展開を迎えるありさまを検討した。そして現在菓子の主要な位置をしめる「地域名菓」が近代において新たに成立したことを、近世からの連続性に注目しつつ実証した。
地域そのものを贈り、味わい、万人で共有することの可能な、唯一の食べものである地域名菓。その栄枯盛衰の物語をたどる。

【担当編集より】
 私の出身地には「十万石まんじゅう」という名菓があり、この饅頭の「うまい、うますぎる」というキャッチフレーズを知っているかいないかで埼玉県民かどうかが判定可能であると(一部で)言われています。十万石まんじゅうのパッケージには「饅頭」ではなく「幔頭」と書かれていますが、これは棟方志功が「このまんじゅうが全国に広く知れわたるように」という願いを込めて書したのをそのまま使用しているとのこと。このように、全国各地の地域名菓は、それぞれの由緒や歴史を抱えて今に伝えられてきました。
 本書は、今まで学術的な議論・分析の対象にほとんどされてこなかった「地域名菓」というテーマに、敢えて挑んだ意欲作です。文献資料の分析だけではなく、各地のお菓子屋さんへの地道な聴き取り調査を積み重ねることで、地域名菓誕生の経緯を辿ります。

目次

序章
  第一節 菓子で味わう歴史
  第二節 課題と対象
  第三節 先行研究の整理と「和菓子」の課題
  第四節 本書の構成


【第一部 総論】

第一章 近世の名産にみる菓子の地域性――地域名菓の萌芽
  はじめに
  第一節 産物記録の名産と菓子の地域性
  第二節 大名武鑑の時献上と菓子の地域性
  第三節 地域性が内在する非名産の菓子
  おわりに

第二章 近代における地域名菓誕生の画期――内国勧業博覧会を中心に
  はじめに
  第一節 内国勧業博覧会記録にみる明治期の菓子の変容
  第二節 菓子税をめぐる菓子屋の動向
  おわりに


【第二部 近世の名産から近代の名菓へ】

第三章 地域性の再編成――熊本の朝鮮飴
  はじめに
  第一節 熊本名菓朝鮮飴の現状
  第二節 近世の朝鮮飴――熊本藩細川家の時献上と城下での販売
  第三節 近代における朝鮮飴の変容と展開
  おわりに

第四章 地域性の中断と創出――熊本のかせいた
  はじめに
  第一節 熊本名菓かせいたの現状とマルメラーダ
  第二節 近世のかせいた――領国産マルメロで調整される国物
  第三節 近代のかせいたにみる地域性の中断と変容
 おわりに

第五章 地域性の具象化――金毘羅の飴
  はじめに
  第一節 金毘羅の飴の起源と現状
  第二節 近世以前の飴と飴屋
  第三節 近代の飴の変容
  第四節 近代の金毘羅の飴と地域の菓子
  おわりに


【第三部 非名産の菓子の近代】

第六章 地域性の認識と菓子名の意義――御国元の軽焼から津山名菓初雪へ
  はじめに
  第一節 津山名菓初雪の現状と前身
  第二節 近世の軽焼――津山藩松平家の国元菓子
  第三節 近代における津山名菓への展開と盛衰
  おわりに

第七章 品質と技の追求による地域性の確立――長崎のかすてら
  はじめに
  第一節 長崎名菓かすてらの現状
  第二節 近世のかすてら――南蛮菓子の代表
  第三節 近世長崎の食文化と菓子
  第四節 近代長崎におけるかすてらの変容と地域性
  おわりに

第八章 地域性の創出と発掘――地域型羊羹と普遍型羊羹
  はじめに
  第一節 近世の羊羹――蒸羊羹から煉羊羹へ
  第二節 近代の煉羊羹における地域性の表出
  おわりに

第九章 埋もれた地域性――対馬と朝鮮菓子くわすり
  はじめに
  第一節 くわすりの実態と油蜜果
  第二節 近世におけるくわすりの流行と衰微
  第三節 対馬の日朝外交にみるくわすりと薬果
  第四節 名菓化しない朝鮮菓子
  おわりに

終章
  第一節 激動期における菓子と菓子屋の軌跡
  第二節 地域名菓の特別性


成稿初出一覧/あとがき/索引

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