ドウインノメディアミックス

動員のメディアミックス

〈創作する大衆〉の戦時下・戦後

大塚英志 編

  • 体裁
    A5判・520頁
  • 初版年月
    2017年10月
  • ISBN
    978-4-7842-1897-4

著者・編者略歴

おおつか・えいじ…国際日本文化研究センター教授

内容

現代の日本まんが・アニメーションにおけるマーケティング技法として注目されるメディアミックスを、とくに戦時下日本における「動員」の技術として捉え直すことで、メディア、プロパガンダ研究史の更新を試みる論集。

まんが・アニメーション・映画・模型といったメディア内、およびメディア間の相互関係のみならず、多様な分野に成立した〈創作する大衆〉の「書く」「つくる」という行為や書式が、いかにして「動員」されていったのか。その諸相を描き出す。

また、一次資料として、日本映画史研究の第一人者・牧野守氏による三木茂(1905~78 記録映画監督)インタビューを収録する。



■担当編集者より■
本書は、国際日本文化研究センターの共同研究「おたく文化と戦時下・戦後」の成果がもとになっています。
執筆者陣に制作者としての一面を持つ方が含まれているところが、本論集のユニークな点です(そのことについては編者「あとがき」で述べられているので、詳しくはそちらをお読みください)。
本論集では「メディアミックス」というマーケティング用語と、戦時下における「動員」という言葉が、論集全体をつらぬいて絶妙に響きあっています。
メディア・メディア史を研究する人、実践する人、創作する人、巻き込まれる人、さまざまな立場の方に、手にとっていただきたい本です。

目次

まえがき(大塚英志)

メディアミックスによる動員――総動員と妖怪ウォッチ事変(マーク・スタインバーグ Marc Steinberg 雑賀忠宏 訳)
戦時下のメディアミックス――『翼賛一家』と隣組(大塚英志)


Ⅰ 戦時下のメディアミックス
東宝スペクタクル映画『孫悟空』に見る戦時色――孫悟空がなぜ歌い踊り出したのか(秦剛)
日本アニメーションのもうひとつの源流――一九二〇~四〇年代前半における教育アニメーション(佐野明子)
〈漫画的イメージ〉の拡散――「漫画」と「広告」の邂逅をめぐって(鈴木麻記)
戦時下の兵器模型と空想兵器図解――戦後ミリタリーモデルの二つの起源(松井広志)
選挙粛正運動における視覚メディア――権利から義務への煽動戦略(室井康成)


Ⅱ 〈創作する大衆〉と動員のリテラシー
動員される映画観客のリテラシー――戦前・戦時下における映画を〈読む文化〉〈書く文化〉
(近藤和都)
戦時下におけるアマチュア映画文化(板倉史明)
いくつかの〈こども風土記〉――宝塚・大東亜・北白川(菊池暁)
昭和十三年の高等女学校制服調査にみる戦時下と制服(嵯峨景子)                  
自身の領分――「橋浦時雄日記」にみる戦時下の交流圏(鶴見太郎)


Ⅲ 動員の諸相
トランスナショナルな映画史の可能性――総力戦とジェンダー規範(堀ひかり)
教育イストリエタの歴史の描き方――一九五〇~七〇年代にけるメキシコ文化マーケットを中心に(アルバロ・ダビド・エルナンデス・エルナンデス Alvaro David Hernandez HERNANDEZ)
ある海軍技師の光学技術と戦後メディア――カメラ・幻灯・テレビ(内田力)
フェアプレイと混沌の狭間に――占領期の野球マンガにおける戦時下・戦後(山本忠宏)
一九六〇年代のエロ・やくざ映画ブームとその背景――プレスシートから探る映画会社の宣伝戦略(北浦寬之)


補論 レイヤー化する歴史
プログラミングによるレイヤー実装構想と抽象化の壁(藤岡洋)
麻枝准に与えた村上春樹の影響――麻枝准にみる戦後の主題の継承、あるいは統合(浅野龍哉)
まんがにおける〈大きな物語〉の復権――『マンガ日本の歴史』を問題にする理由と事例分析(斉夢菲)


問題提起 研究ノート/資料
岩淵正嘉文献リスト(肥田野茂)
「規格化」をめぐる知の政治学――三木茂インタビュー解題(近藤和都)
三木茂インタビュー(インタビュアー:牧野守)

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