日本近世貨幣史の研究
本体価格
6,800 円(税別)
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著者・編者略歴

やすくに・りょういち・・・1953年生.京都大学博士(文学).現在,住友史料館副館長.

内容

 日本の歴史上、近世ほど多種類の貨幣が流通した時代はない。金・銀・銭という幕府制定の「三貨」、近世初頭の大名領国にみられる金銀貨「領国貨幣」、藩札や私札の紙幣などを加えればその数は膨大である。さらに銭については、地域独特の数え方もあった。こうした複雑さのいっぽう、近世の権力は貨幣制度を確立したとも認識されている。
 本書は、この一見矛盾する貨幣の特質を明らかにすることを試みる。
 近世貨幣はどのように生まれ、流通し、終焉をむかえたのか――。
 一国一通貨という貨幣観を解きほぐし、その独自の機能や意味づけを問いなおす良著。


■担当編集者より■
貨幣の歴史的発展を考えるとき、現代の感覚では、一定の相場で流通するという前提で、つい考えてしまいませんか。この研究からは、一定の相場がなりたつ以前の貨幣のあり方を考えてみることができます。
当時の貨幣観の現代との違いもうかがえて、興味深いです(第8章 貨幣の社会的・文化的効用)。
貨幣というモノ自体に惹かれている、そういう方々には、とくに必読です。

目次

序章 課題と方法
本書の課題/通貨への関心と貨幣史研究の動向/研究史にみる貨幣観/本書の研究視角/本書の構成


第1部 貨幣の統合と多様性

第1章 三貨制度の成立
三貨制度とは何か/儀礼的貨幣の系譜と定着/通貨の整備過程/武家の国家の貨幣体系

第2章 貨幣の地域性と近世的統合
幕府の貨幣と領国の金銀/京銭=鐚銭による銭貨統合/銅銭輸出とその停止/新銭鋳造計画/寛永通宝の発行と流通

第3章 地域からみた近世中後期の通貨事情(一)―播磨を中心に―
一七世紀における鉱山と銀の流通/一八世紀以降の貨幣流通の変化/札遣いの普及とその特色/西播、安志藩銭札の貸付

第4章 地域からみた近世中後期の通貨事情(二)―伊予の場合―
東予と別子銅山の流通貨幣/銭匁勘定の普及と藩札(銭匁札)の流通状況/幕末期の通貨変動とその影響/維新期―新たな統合へ―


第2部 貨幣の機能

第5章 金銀貨の機能とその展開
近世貨幣の特性/経済的機能の深化/対外関係と貨幣の政治的意味

第6章 貨幣改鋳と新旧貨引替機構―文政期、十五軒組合の設立を中心に―
組合設立の前段階/十五軒組合の成立/組合による引替の開始とその実態

第7章 近世初期の撰銭令と銭貨の機能
江戸幕府撰銭令の系譜/幕府の街道・宿駅整備と撰銭令/銭の交通上の機能/京銭による銭貨統合の時代/寛永通宝の発行事情

第8章 貨幣の社会的・文化的効用
儀礼的貨幣の展開/身分的な財の流動化/都市経済の新展開/貨幣からみた都市文化


第3部 寛永通宝の鋳造と流通

第9章 寛永通宝の第一次鋳造
新銭鋳造の動き/寛永通宝の発行/諸大名の対応/鋳造停止とその事情/寛永飢饉と銭貨流通

第10章 寛永期の大坂銭座
大坂における銭座の開設/銭座と錫輸入/銅輸出解禁への模索と銭座の停止

第11章 享保期、大坂難波銭座の鋳銭
従来の見解と典拠史料/通説の問題点/『古記録』所収史料による再検討

第12章 真鍮四文銭の鋳造と流通
第一次鋳造高の再検討/真鍮四文銭の流通域

終章 まとめと展望
近世貨幣の特質/近世貨幣の終焉

紹介媒体

  • 『日本史研究』652号

    2016年12月

    岩橋勝

    書評

  • 『地方史研究』388

    2017年8月

    受贈図書論文要目

  • 『史学雑誌』第127編第7号

    2018年7月20日

    川戸貴史

    書評

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