戊辰内乱期の社会
定価
8,250 円(税込)
本体 7,500円
在庫状況: 在庫あり

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著者・編者略歴

みやま・じゅんいち…1982年千葉県生.2012年中央大学大学院博士後期課程修了.博士(史学).千葉県文書館嘱託職員を経て,現在,宮内庁書陵部研究員および中央大学兼任講師,立正大学非常勤講師.主な著書に『国葬の成立-明治国家と「功臣」の死-』(勉誠出版,2015年)など.

内容

鳥羽・伏見の戦いで幕を開けた戊辰内乱は、否応なく当時の社会全体を巻き込み、あらゆる身分の人びとに日和見を許さなかった。内乱の当事者たちはそれぞれの正当性を喧伝し、彼らの支配を受けることになる人びとは、時代が佐幕から勤王へと移りかわるなかで立場を表明することを迫られた。
みずからの拠るべき正当性を探し求める者、保身のために立場を翻す者、混乱に乗じて地位の上昇を図る者――、新出史料を活用しながらさまざまな思惑が交錯する内乱期の社会像を描出する。

目次

序 章
戊辰内乱史研究の現状と課題/戊辰内乱という地点―佐幕から勤王へ―/分析視角と本書の構成


   第1部 「官軍」の正当性 

第1章 「官軍」と王権の表象
 錦旗の登場/日月旗の運用にみる儀礼/識別標識としての菊章旗/「官軍」の演出

第2章 公家の位置―鷲尾隆聚を中心に―
 政治意識の発露と政局への登場 (1)慶応三年四月議奏・武家伝奏辞任一件 (2)慶応三年八月倒幕挙兵計画/高野山出張と内乱の勃発/戊辰内乱における公家の位置

補 論 榎本軍首脳部処分問題にみる「朝敵」寛典の論理
 ブリュネらの処分と対仏交渉/処分決定の延期/黒田清隆の寛典論と木戸孝允の厳罰論/榎本軍首脳部の赦免


  第2部 旧幕府抗戦論の限界 

第3章 旧幕府抗戦論の正当性
 江戸府下における佐幕論の展開―大政奉還から慶応三年末まで―/開成所会議での抗戦論/天皇権威をめぐって/「神君」徳川家康への回帰  

第4章 堀田正倫の上京―藩士の日記を素材に―
佐治三左衛門日記について/「哀訴状」の目的/正倫上京の趣旨/滞京から帰国まで

第5章「朝敵」藩の恭順理論―伊予松山藩を事例に―
 鳥羽・伏見の戦い前後/藩是決定までの道程/松山開城/征討軍内の不和/領民の「朝敵」意識


  第3部 社会集団の欲求と草莽隊 

第6章 神職集団の武装化
 吉田家本所と神威隊結成/神威隊結成の背景/神職の武装化/配下神職への影響

第7章 草莽隊の上昇志向―下野利鎌隊を事例に―
 利鎌隊の構成/社会集団と身分表象 (1)城内帯刀一件 (2)壬生氏旧臣団の上昇願望/利鎌隊の変容/旧日光奉行所同心との確執と活動の終焉

第8章 地方大社の勤王運動―香取神宮尚古隊―
 朝廷権威への傾斜/尚古隊の結成/尚古館と上昇志向/騒動の鎮圧


  第4部 地域の葛藤 

第9章 関東農村の佐幕的状況―上総国を中心に―
 旧幕府軍への支援/佐幕的空気醸成の要因/撤兵隊敗退後の情勢/「味方」から「賊」へ

第10章 旧旗本阿部詮吉郎の朝臣化と知行所―農兵隊の動向を中心に―
 旗本阿部家と幕末期の軍役/内乱勃発と農兵取立/阿部詮吉郎の朝臣化と農兵隊の位置づけ/領主との一体化と離断

終 章―結論と展望―


主要参考文献
あとがき
索引(人名・事項)

紹介媒体

  • 『地方史研究』384号

    2016年12月

    岩立将史

    新刊案内

  • 『千葉史学』69号

    2016年11月

    大関真由美

    書評

  • 『日本史研究』第676号(2018年12月)

    2018年12月20日

    岸本覚

    書評

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