正倉院の香薬
定価
11,000 円(税込)
本体 10,000円
在庫状況: 在庫あり

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著者・編者略歴

よねだ・かいすけ…1943年,兵庫県神戸市生まれ.大阪大学薬学部卒業.同大学院薬学研究科博士課程中退.薬学博士.大阪大学薬学部同大学総合学術博物館を経て,現在,大阪大学医学部医学史料室.緒方洪庵記念財団・除痘館記念資料室専門委員.

内容

本書は、平成6年(1994)から開始した第二次正倉院薬物調査に参加し、宝庫に伝存する香薬の材質調査の成果を中心に、長年考究してきた香薬についても加味して、著者により全編書き改めたもので、先駆的な研究成果の集大成である。理系・文系を問わず、有機物の「文化材」保存とは何かを問う。

目次

第一章 香薬とその調査
正倉院宝物とは/正倉院の香薬の調査―保存と利用から/宝物調査の詳細

第二章 香と香材の調査
正倉院の香と香材/香道具のこと/香薬等で装飾された調度類/庫内の香・香材の調査〔沈香及雑塵 全浅香と黄熟香 白檀 木香―附・青木香 丁香 薫陸 琥碧 合香 香袋 裛衣香 練り香―正倉院の炭塊〕

第三章 薬物の調査
薬物の現状と調査〔麝香 犀角器 阿麻勒(亡佚)奄麻羅 無食子 厚朴 桂心 人參 大黄  臈蜜 甘草 胡同律 没食子之属 草根木実数種 薬塵―保存の過程で生じた断片 防葵と狼毒(ともに亡佚か)  獣胆 その他の薬物〕

附章 ある蘭方医の薬箱に見る保存例
薬箱とは/洪庵の薬箱に見る薬物の保存例〔摂綿 将軍(大黄) 甘草 桂枝 旃那 莨根〕/幕末の製薬剤に見る保存例/幕末の大黄製剤ウルユスの分析

第四章 宝物を彩るもの―織布・紙に見る
古代の天然色素材/染色材の調査〔蘇芳 紫鑛 茜根 紫根 その他の植物性色素料 銀泥 丹 朱・辰砂 雄黄  密陀僧(亡佚)〕/染色材の保存と劣化/包装材としての布帛/植物繊維と紙

第五章 香薬の材質調査から保存へ
正倉の構造/香薬の収納と包装/材質調査は保存のため/庫内の微小生物の調査/保存への提言例―中尾万三の調査報告から/文化財(材)の保存とは/文化財の理科学調査/有機素材からなる文化財の材質調査/素材の劣化とその対策/調査記録を残す/附 地下埋蔵物の発掘と保存例
 

附表 正倉院宝物の特別調査(材質調査)一覧/正倉院香薬とその関連歴史年表
 
おわりに

索引(人名/書名)

紹介媒体

  • 『AROMA RESEARCH』No.65

    2016年2月28日

    新刊紹介

  • 『リポート笠間』No.60

    2016年5月

    川崎佐知子

    紹介

  • 『古代文化』68巻2号

    2016年9月30日

    丸山裕美子

    新刊紹介

  • 『日本医史学雑誌』62巻3号

    2016年9月30日

    鈴木達彦

    書評

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