著者・編者略歴

きむら・のりみつ…1939年滋賀県生。1966年京都市立美術大学(現芸大)美術学部工芸科卒業。1967年宮内庁正倉院事務所保存課勤務(総理府技官)、文化庁文化財保護審議会専門委員、京都市立芸術大学教授を経て、現在、福岡県文化財保護審議会専門委員、奈良国立博物館客員研究員。【主な著書】『正倉院の調度』(日本の美術294,至文堂,1990)『正倉院宝物に見る家具・調度』(紫紅社,1992)『正倉院美術館 ザ・ベストコレクション』(共同執筆,講談社,2009)

内容

正倉院宝物はどのような材料で製作されているのか。奈良時代の匠が用いた技術が優れていた理由は何なのか。
長年、正倉院事務所保存課に勤務し、正倉院宝物の調査・研究、保存・管理に携わってきた著者の研究成果を一書にまとめる。

目次

第一部 正倉院宝物の保存と管理
 第一章 正倉院を守ってきた人々
  一 宝庫・宝物の修理
  二 宝物の調査
  三 宝物の模造
  四 正倉院古文書の整理
  五 宝物の公開
  六 事件
 
 第二章 日本の伝統工芸の源流としての正倉院宝物
  一 伝統を見ないもの
  二 蒔絵
  三 技法の復元

 第三章 正倉院薬物の保存と管理
  一 薬物の容れもの
  二 現行の保存・管理
  三 将来に向かって

 第四章 正倉院楽器の保存と修復
  一 献納帳等文書に記載された楽器
  二 正倉院楽器の調査と修復の歴史
 
 第五章 正倉院事務所における復元模造
  一 正倉院宝物の模造品作製の歴史
  二 模造事業の目的とその利用
  三 模造事業で得た貴重な経験
 
 第六章 『壬申検査社寺宝物図集』と正倉院宝物
  一 壬申の検査
  二 宝物と照合
 
 第七章 正倉院宝物の残材調査
  一 面目を新たにした宝物と木簡
  二 中倉所属の残材と南倉所属の器物残材雑塵中のもの
  三 古裂整理に際し発見した器物残材中のもの


第二部 正倉院宝物の木工・漆工・大刀
 第一章 正倉院漆工品の内部構造と施工―X線透視による結果と考察― 
  一 指物
  二 曲物
  三 挽物
  四 刳物
  五 漆皮
  六 乾漆
  七 まとめ

 第二章 正倉院の木工品にみる接合技法
  一 接着接
  二 釘付け
  三―A 接手(板もの)
  三―B 接手(角もの)
  四 その他

 第三章 正倉院の大刀鞘の素地と木取り


第三部 正倉院宝物の家具・調度と技法
 第一章 正倉院宝物にみる家具・調度
  一 調度品の種類と形式
  二 使用材料と構造
  三 多彩な手法

 第二章 正倉院の愛すべき箱たち
  一 木製の箱物
  二 柳箱と漆皮箱
  三 葛箱・竹箱(篚)・藺箱
  四 多彩なるその文様

 第三章 正倉院宝物にみる文様―技法別にみた場合―
  一 技法別にみる文様
  二 奈良時代の文様の特色


第四部 微に入り細に入り―正倉院宝物をめぐって―
 第一章 瑇瑁螺鈿八角箱
  一 加飾について
  二 残材と新旧識別図
  三 構造について

 第二章 合子

 第三章 漆 胡 瓶
  一 概説
  二 技法

 第四章 奈良時代の平脱・平文
  一 正倉院宝物にみる平脱・平文
  二 研究史と私注
  三 考察

 第五章 紫檀木画箱の復元模造
  一 正倉院の木画関係資料について
  二 紫檀木画箱の材料・構造
  三 紫檀木画箱の復元模造製作

 第六章 憧幡鉸具―特に法隆寺系金具について―

 付 章 宝物調査覚え書き
  一 螺鈿紫檀琵琶と糸鋸
  二 白銅剪子の使い途
  三 末金鏤と蒔絵
  四 塵芥もまた宝物


図版編(北倉・中倉・南倉)

初出一覧/あとがき/索引

紹介媒体

  • 『家具道具室内史』8号

    2016年5月

    紹介

  • 『日本歴史』820号

    2016年9月

    稲田奈津子

    書評と紹介

  • 『古代文化』68巻2号

    2016年9月30日

    高橋隆博

    新刊紹介

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