徳川社会と日本の近代化
定価
10,780 円(税込)
本体 9,800円
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内容

嘉永6(1853)年、ペリーが東印度艦隊を率いて来日し、米国大統領の親書を日本側に手渡すとともに開国通商を求めた。同時代のアジア諸国は、そのほとんどが欧米列強の植民地に編入されるか、蚕食の危機にさらされていた。このような一九世紀のアジア情勢を見るとき、日本が植民地化の途を歩まず独立を堅持したうえで、社会の近代化を達成しえたことの文明史的な意義は少なくない。では、それが何故に可能であったのかと問うとき、欧米列強に互しうるだけの力を蓄えていた徳川日本の文明史的力量に着目せざるをえないであろう。徳川社会はどのような力powerを、いかにして形成しえたのか、多分野の研究者の書き下ろし論文25本により総合的に究明する。

目次

序論 徳川時代通史要綱(笠谷和比古)

Ⅰ 政治

新井白石と「政治」(大川真)
徳川吉宗の武芸上覧(横山輝樹)
一九世紀の藩政情報(磯田道史)
 ―諸藩見聞録の分析―
会津戊辰戦争の戦後処理問題をめぐる一考察(岩下哲典)
 ―松平容保家族の処遇を中心に―

Ⅱ 思想

長州藩明倫館の藩校教育の展開(前田勉)
日本儒学における考証学的伝統と原典批判(竹村英二)
 ―G-B・ヴィーコ、A・ヴェクらのフィロロギー、そして清代考証学との比較のなかで―
本多利明の北方開発政策論(宮田純)
 ―『蝦夷拾遺』を中心として―
幕末から明治、後期水戸学「影」の具現者(上村敏文)
 ―久米幹文を中心として―

Ⅲ 文化

藩校における楽の実践(武内恵美子)
 ―弘前藩校稽古館を例として―
大武鑑「大名付」と板元と大名家(藤實久美子)
 ―江戸出版の仕組み―
宝永地震と近松の浄瑠璃(原道生)
 ―『心中重井筒』の場合―
『道の幸』『諸国風俗問状答』からみた松平定信の文化政策の背景(森田登代子)
東北農村における結婚パターンの変容(平井晶子)
 ― 一八・一九世紀の歴史人口学的分析―
一九世紀における剣術の展開とその社会的意味(魚住孝至)

Ⅳ 科学

中根元圭と三角法(小林龍彦)
高松松平家博物図譜の成立(松岡明子)
 ― ―八世紀博物図譜の模索―
蘭書による西洋天文学の受容の始まり(和田光俊)
 ―『ラランデ暦書』の入手・翻訳をめぐって―
江戸後期幕府・諸藩の近代化努力と大砲技術(郡司健)

Ⅴ 国際

オランダ商館長と将軍謁見(フレデリック・クレインス)
 ―野望、威信、挫折―
一七~一九世紀における日本の朝鮮史認識形成の特色(平木實)
清朝考証学の再考のために(伊東貴之)
 ―中国・清代における『尚書』をめぐる文献批判とその位相、あるいは、伝統と近代、日本との比較の視点から―
蒹葭堂が紡ぎ、金正喜が結んだ夢(高橋博巳)
 ―東アジア文人社会の成立―
幕末最終章の外交儀礼(佐野真由子)
神戸開港に臨んだ外国奉行柴田剛中(菅良樹)
 ―大坂町奉行・兵庫奉行兼帯期の動向―


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