中世の契約社会と文書
定価
8,250 円(税込)
本体 7,500円
在庫状況: 在庫あり

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著者・編者略歴

むらいし・まさゆき…1971年長野県生。1997年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。長野県望月高等学校、長野県立歴史館専門主事・学芸員を経て現在長野県松本蟻ヶ崎高等学校教諭。博士(史学 慶應義塾大学)。〔主要論文〕「室町幕府奉行人諏訪氏の基礎的考察」(『長野県立歴史館研究紀要』2005年)、「諏訪社に残された足利義政の願文」(『年報三田中世史研究』2007年)、「治承寿永内乱期の木曾義仲・信濃武士と地域間ネットワーク」(『長野県立歴史館研究紀要』2010年)、「14世紀内乱期の守護所と善光寺周辺」(『善光寺の中世』2010年)、「鎌倉時代の『款状』とその機能」(『信濃』2012年)。

内容

従来、中世の契約慣習のなかで債権者から渡され債務者の側に残る文書についての研究は等閑視されてきた。本書は売買・貸借などの契約関係を題材に、それに関わる契約者双方の文書作成のあり方を検証、「塵芥集」における法慣習なども援用しながら、双方向の文書授受とそれにまつわる文書作成が一般的におこなわれていた可能性を示す。

目次

序 章  契約における文書作成―分析と課題―
本論文に関わる研究史/本書の視角


第一部 中世の契約と文書の作成

第一章 売買における双方向の契約文書
古代的売券から中世的売券への転換/「売券」を「買券」と称すること/売買契約の場における売主・買主/買主を主体とした文書の作成

第二章 中世の借用と預状の作成
「預り状」と「預け状」/預け状の形態/預け状の作成

第三章 処分状の作成
処分状の形態/処分状と「書分」/権利証文の作成と書分


第二部 売寄進と同日付売券・寄進状の作成

第四章 売買契約と売寄進
売寄進状の実態/買得即時寄進型売寄進と「仲介者」/買得即時寄進型売寄進における買得と上分寄進

第五章 長楽寺復興運動と売寄進
長楽寺における土地売買契約文書/長楽寺の復興と売寄進

第六章 洞松寺文書にみる売寄進と在地社会
備中洞松寺と伝来文書/備中洞松寺文書における売寄進/毛利領国下の検地と打渡坪付/「洞松寺文書」にみえる庄氏


第三部 中世後期禅宗寺院における文書目録作成と契約文書

第七章 中世後期曹洞宗寺院の地方伝播
信濃における禅宗史/十五世紀信濃国における曹洞宗の広がり/如仲天x}い箸修遼‥・rn
第八章 中世後期地方曹洞宗寺院にみる仏事興行と文書目録の作成
如仲天x}い侶鷲茵親蕎昌靖現饕罎痢嵎現駝槝拭廖震槝燭妨・┐訥描韻里△衒・rn
附 論  北高全祝と龍雲寺
戦国大名武田氏と曹洞宗寺院の統制/北高全祝法語と在地社会における曹洞宗の受容

第九章 中世後期臨済宗寺院にみる土地集積と文書目録の作成―「臨照山記録西岸寺規式」の文書目録を中心に―
臨済宗西岸寺の伝来史料/西岸寺と在地社会/寺院の土地集積と目録の作成/西岸寺文書目録の作成目的

終 章
契約と文書交換/寄進と売買契約としての売寄進/宗教文書にみる契約と信仰/中世の契約の双方向性―中世的文書主義との関わりから―


初出一覧/あとがき/索引・図版一覧

紹介媒体

  • 『寺門興隆』第175号

    2013年6月

    仏書 Book Review

  • 「松本平タウン情報」

    2014年3月4日

    笹本正治

    本の楽しみ

  • 『信濃』66-3号

    2014年3月20日

    花岡康隆

    書評

  • 『史学雑誌』123篇9号

    2014年9月

    呉座勇一

    書評

  • 『古文書研究』78号

    2014年12月

    伊藤啓介

    書評と紹介

  • 『法制史研究』64号

    2015年3月30日

    佐藤雄基

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  • 『歴史学研究』936号

    2015年10月15日

    湯浅治久

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