著者・編者略歴

ふかせ・やすあき…1929年生.東京慈恵会医科大学を経て深瀬小児科医院を1961年に開業(~2008年). 1973年より日本医史学会会員. 2008年日本医史学会理事. また1978年より順天堂大学医学部医史学研究室研究生として, 医史学の研究を深める. 2003年日本医史学会矢数(やかず)医史学賞,2004年日本医師会最高優功賞(医史学)を受賞.著書に『天然痘根絶史』(思文閣出版, 2002年), 『わが国はじめての牛痘接種 楢林宗建』(出門堂, 2006年), 共編著に『東と西の医療文化』(思文閣出版, 2001年), 共訳書にシンガー・アンダーウッド『医学の歴史』全4巻(朝倉書店, 1985-86年)など.

内容

昭和36(1961)年より小児科開業医として永く地域医療に携わってきた著者が、内外の医学書原著をひもとき、小児科学の誕生や発展の跡をたどった論考集。とりわけ小児感染症の歴史的変遷を通観し、近年大学生の間で再流行した麻疹など、忘れ去られつつある感染症を考究する。小児科医が減少の一途をたどり、高齢化が進む現今、著者が一小児科医の使命として、小児科学史への注目を喚起した一冊。

目次

Ⅰ 感染症の変遷

コプリック班の原著をたずねて
ヘンリー・コプリックが百日咳患者から分離した桿菌
麻疹予防接種の先駆者 Francis Home
仮性小児コレラ ―その学説の変遷
明治12年沖縄県のコレラ流行と土屋寛信
疫痢 ―その出現と消退、そして再生
消えた感染症 ―所謂脳膜炎のゆくえ
ジェンナーの『牛痘の原因および作用に関する研究』をよむ
わが国における熱性けいれんの歴史

Ⅱ 歴史的な小児科書を読む

ニルス・ローゼン・フォン・ローゼンシュタイン著『小児科学の知識と治療の指針』(1764)
マイケル・アンダーウッド著『小児疾病論―出生からの小児のとりあつかいについての心得』(1784)
カール・ヴンデルリッヒ著『疾病における固有の体温の様相』(1868)
『児科必携』から小児伝染性疾患の変遷をさぐる
ハーヴェイの血液循環論とその受容

Ⅲ 疾病概念の変遷

先天代謝異常症の概念の歴史
Archibald Garrodのパラダイム ―先天代謝異常症の歴史
背番号病 ―病名の変遷を中心に
文学作品に由来する23の病名
発疹性感染症にみる病名の由来
新生児黄疸と体質性黄疸

Ⅳ 小児病の診断と治療

シャーロック・ホームズのモデル ジョゼフ・ベル教授と診断学の周辺
視尿術から科学的検尿法まで
輸液療法のあゆみ

Ⅴ 小児科学の誕生と小児医院

小児科学の誕生と小児病院の歴史
人工栄養法の確立をめざして
ヒトの成長についての研究史
東と西の育児論

 あとがき
 索引(人名・事項)

紹介媒体

  • 「日医ニュース」No.1179

    2010年10月20日

    書評

  • 『日本医史学雑誌』第57巻第3号

    2011年9月20日

    七木田文彦

    書評

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