ナラチョウジンブツレツデン

奈良朝人物列伝

『続日本紀』薨卒伝の検討

林陸朗 著

  • 体裁
    A5判・468頁
  • 刊行年月
    2010年05月
  • ISBN
    978-4-7842-1517-1

カバーなど書籍の外装に多少の汚れ・傷みがございますのでご了承ください。

著者・編者略歴

はやし・ろくろう…大正14年(1925)生まれ。昭和24年(1949)國學院大學卒業。國學院大學教授・文学博士。同大學文学部長、大學院委員長、國學院短期大學長を歴任。國學院大學名誉教授。

内容

『続日本紀』には王臣・僧侶等の死没記事のあとに、その人の略伝的な記事を掲げることがある。これを薨卒伝といい、撰者の批評的記事を交えた極めて特色ある史料として注目される。本書は『続日本紀』収録の全54名の薨卒伝をとりあげ現代語訳・訓読・原文・語句解説・考察で構成。特色ある54の生きざまから、権謀うずまく奈良朝政治のうら側が見えてくる。

目次

道昭和尚――三蔵法師の弟子
道首名――地方政治家の模範
道慈法師――仏教界の巨星
僧玄?遭――怨霊に狙われた高僧
行基和尚――菩薩と崇められた高僧
多治比広足――奈良麻呂の変に連座した
光明皇后――天平のファーストレディ
巨勢関麻呂――伯父の家を継ぎ公卿になった
紀飯麻呂――参議で病没した仲麻呂派官人
石川年足――墓誌銘が遺った高級官人
鑑真和上――苦難を越えて戒律の法を伝えた
藤原弟貞――実は長屋王の子
藤原仲麻呂(恵美押勝)――専制権力とその末路
坂上犬養――武人の家系を誇る
和気王――皇位をうかがったとされる
藤原豊成――藤原南家の総帥
藤原真楯――仲麻呂の乱に功績をあげた高官
百済敬福――百済国王の末裔
上道正道――密告で出世した元舎人
山村王――鈴印の争奪に功績があった
高丘比良麻呂――仲麻呂の陰謀を訴えた大外記
大和長岡――祠官出身の法律家
文室浄三――二世王の賜姓、篤信の仏徒
藤原永手――光仁天皇を推戴した宰相
僧道鏡――果たして皇位を狙ったか
国中公麻呂――東大寺の大仏師
大津大浦――陰陽師の世渡り
藤原蔵下麻呂――仲麻呂追討に適時打を放つ
吉備真備――当代第一の学者・大臣
飯高諸高――清廉貞節な女官と評価される
大伴古慈斐――権力者に嫌われた大伴氏の長老
藤原良継――権力に反抗した人が権力を握った
藤原百川――奈良朝きっての策士という評判
藤原縄麻呂――高野天皇側近の顕官
文室邑珍――僧形で身の安全をはかった皇孫
石上宅嗣――図書館を創始した文人政治家
大伴伯麻呂――宴飲して談論風発の人
藤原百能――後宮女官の頂点にたった
道嶋嶋足――蝦夷出身の政府高官
藤原田麻呂――恭謙の公卿と称された
藤原魚名――晩年に暗転、配流された大臣
淡海三船――僧俗兼ね備えた文人政治家
大伴家持――万葉の大歌人、後半生の足跡
藤原種継――長岡京造営の犠牲となった寵臣
坂上苅田麻呂――武門の誉れを輝かせた
藤原旅子――早逝した淳和天皇の生母
石川名足――剛直な官人として怖れられた
大中臣清麻呂――国の古老といわれた祠官出身で大臣
藤原是公――桓武の外舅として信任が篤かった
高倉福信――高句麗系渡来人の出世頭
高野新笠――桓武天皇の生母・百済系渡来人
藤原浜成――左遷された学者公卿
藤原乙牟漏――藤原氏からでた二人めの皇后
佐伯今毛人――東大寺建立の功労者


 あとがき

 参考文献

紹介媒体

  • 『日本歴史』第759号

    2011年8月1日

    松尾光

    書評と紹介

  • 『史学雑誌』第121編第8号

    2012年8月20日

    武内美佳

    新刊紹介

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