チュウゴクゴケンニオケルクリヤガワハクソンゲンショウ

中国語圏における厨川白村現象

隆盛・衰退・回帰と継続

工藤貴正 著

  • 体裁
    A5判・378頁
  • 刊行年月
    2010年02月
  • ISBN
    978-4-7842-1495-2

著者・編者略歴

くどう たかまさ…1955年生まれ,仙台市出身.大阪外国語大学・同大学院を卒業・修了後,北京師範大学留学.大阪教育大学助教授を経て現在,愛知県立大学教授.名古屋大学・博士(文学).著書に,『魯迅と西洋近代文芸思潮』(汲古書院,2008),『現代中国への道案内Ⅱ』(共著,白帝社,2009)などがある.

内容

 日本で彗星のごとく現れ、大いに流行した厨川白村(1880~1923)。その著作が彼の死後、急速に忘れ去られたのに対し、中国語圏(中国、台湾、香港) の知識人たちの間では、日本を代表する作家たち以上に知名度が高く、系統的に翻訳され、しかも時代を超えて各地域の特性に根ざして今なお活き続けている。
 彼の著作が日本でどのような評価を受け、大陸・中国の民国文壇の知識人にどのように受容されたのか、また、翻訳された厨川文体の特徴とは如何なるものだったのかを基本的資料を示しながら考察。さらには、同じ中国語圏である台湾・香港での諸相や、1980年以降、大陸・中国で彼の著作が再び熱く受容されている現状に考察を加える。厨川白村を軸とした日中台の文学交流史。

目次

序  章  中国語圏における「厨川白村現象」とは何か
第1章  厨川白村著作の普及と評価
―日本での同時代人の評価を中心に
第2章  民国文壇の知識人の厨川白村著作への反応
第3章  『近代の恋愛観』の受容を巡る翻訳者三人の差異
第4章  魯迅訳・豊子?祥訳『苦悶的象徴』の産出とその周縁
第5章  翻訳文体に顕れた厨川白村
   ―魯迅訳・豊子?祥訳『苦悶的象徴』を中心に
第6章  ある中学教師の『文学概論』
      ―本間久雄『新文学概論』と厨川白村『苦悶の象徴』『象牙の塔を出て』の普及
第7章  『近代の恋愛観』に描く恋愛論の文芸界への波及・展開
      ―ビョルンソンとシュニッツラーの翻訳状況を例に
第8章  台湾における厨川白村
      ―継続的普及の背景・要因・方法
終 章  回帰した厨川白村著作とその研究の意義



附録・参考資料編

あとがき
索引

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