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著者・編者略歴

1947年富山県生.東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学.長崎大学教育学部教授を経て,現在佛教大学教授.

内容

『水滸伝』『西遊記』『三国志演義』とならんで中国四大奇書の一つとされる『金瓶梅』。この作者不詳の小説は明の万暦初年の成立とされ、『水滸伝』中の武松物語を百回に敷衍したものである。これまで淫書と目され禁書扱いであったためか、他の小説と比べて最もその研究が遅れていた。本書では、明代の政治・社会の腐敗を暴露したこの小説を、執筆時代・素材・用語・服装など様々な側面から考察し明らかにする。

目次

第一部 『金瓶梅詞話』考

第一章 『金瓶梅』執筆時代の推定
  干支より見る『金瓶梅』の執筆時代について

第二章 『金瓶梅』の成立に関する一考察―特に八十一回以降について―
  先人による示唆
  七十九回以降の展開
  八十回前後の相違

第三章 『金瓶梅』と楊継盛―小説と戯曲との関係から見た―
  『続金瓶梅』及び戯曲「鳴鳳記」「表忠記」について
  『金瓶梅』と『続金瓶梅』並びに戯曲「鳴鳳記」「表忠記」との関係
  嘉靖という時代について
  『金瓶梅』に投影された時代

第二部 『金瓶梅』の素材と創作手法について
 
第一章 『金瓶梅』の素材(1)―俗曲・「宝剣記」・『大宋宣和遺事』について―
  『金瓶梅』引用の俗曲
  素材としての「林冲宝剣記」と『大宋宣和遺事』について

第二章 『金瓶梅』の素材(2)―話本について―
  筋・着想面における話本からの影響
  詩詞・駢語における鈔襲の傾向

第三章 『金瓶梅』の素材(3)―散曲について―
  『金瓶梅』中の散曲
  散曲引用の仕方について

第四章 『金瓶梅』の素材(4)―駢語について―
  『金瓶梅』中の駢語
  『水滸伝』との関係について
  駢語引用の仕方について
  駢語引用における連想作用

第五章 『金瓶梅』の創作方法(1)―諷刺と洒落について―
  六十五回に見える山東八府の役人達
  宋代に実在した人物
  明代に実在した人物

第六章 『金瓶梅』の創作方法(2)-娯楽性と政治性について-
  明人の『金瓶梅』に対する見方
  『金瓶梅』の創作動機について

第三部 『金瓶梅』に投影された史実
 
第一章 『金瓶梅』に見える明代の用語について
  明代の一般用語
  明代の官職名
  明代の官署名
  明代の地名

第二章 『金瓶梅』第十七回に投影された史実―宇文虚中の上奏文より見た―
  第十七回の作品中にあっての位置
  歴史上における宇文虚中の上奏文
  宇文虚中の上奏文に投影された時代

第三章 『金瓶梅』に描かれた役人世界とその時代
  『金瓶梅』における官界の動向
  『金瓶梅』に描かれた時代

第四章 『金瓶梅』における諷刺―西門慶の官職から見た―
  作品中に見られる西門慶の職務
  歴史上における西門慶の官位
  錦衣衛について

第五章 『金瓶梅』補服考
  作品中に描かれた西門慶の服装
  明代官員における官服制度
  西門慶の服装における矛盾点
  陳詔説とその若干の反論
  私の解釈
  西門慶以外の人物の服装

第四部 崇禎本『金瓶梅』考
 
第一章 新刻繍像批評『金瓶梅』(内閣文庫本)の出版書肆について
  『金瓶梅』(内閣文庫本)書葉中より発見された襯紙について
  陳仁錫について
  出版書肆魯重民について

第二章 崇禎本『金瓶梅』各回冒頭詩詞について
  「詞話本」と「崇禎本」の相違
  「詞話本」冒頭詩詞の特徴
  冒頭詩詞における両版本の相違
  「崇禎本」各回冒頭詞の出典について

第三章 崇禎本『金瓶梅』における五十三回より五十七回までについて
  これまでの研究
  五十三回より五十七回まで

第四章 崇禎本『金瓶梅』における補筆について
  「崇禎本」について
  「崇禎本」における補筆例と合理化傾向について

附 考 不登大雅文庫旧抄戯曲『金瓶梅』についての一所見
 現存する各戯曲『金瓶梅』相互の関係について
 「不登大雅甲本」について 

 索引(資料名・人名・事項)

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