カバーなど書籍の外装に多少の汚れ・傷み・破れがございますのでご了承ください。

著者・編者略歴

(すずき やすこ)・・・1958年東京生まれ.中央大学大学院文学研究科後期課程修了.現在,花園大学文学部教授.史学博士(中央大学).近著に『近世日蘭貿易史の研究』(思文閣出版,2004年).

内容

長崎奉行は、単に長崎という町を支配するだけではなく、唐船やオランダ船貿易の監視、漂流民の引受、外国との政治的交渉などの要務をにない、その重要性は時代を降るごとに増大していった。
本書では、17世紀後期から18世紀中期の約100年間の、長崎奉行の職掌や幕府内における長崎奉行の位置づけの変化、そして長崎奉行自体の特質が変質してゆく状況を解明し、その背景となる幕府の経済政策の推移や、日本側の外国人に対する意識の変化などについても考察を加える。

目次

序論 
  第1節 本書の目的と長崎奉行研
  第2節 本書の構成と既発表論文
    (1)本書の構成
    (2)既発表論文との関係

第1章 貞享~元禄期長崎奉行制度の変化
     ―長崎奉行定員の推移と叙爵を中心として―
  第1節 貞享三年の抜荷事件と長崎奉行三人制
    (1)貞享三年の抜荷事件
    (2)長崎奉行宮城監物の免職
    (3)長崎奉行三人制
  第2節 貞享・元禄期の貿易統制と長崎奉行川口源左衛門
  第3節 長崎奉行の叙爵と席順
    (1)長崎奉行の叙爵
    (2)長崎奉行の席順と幕府の外国観の変化
  第4節 元禄後期の長崎奉行と長崎奉行制度
     (1)諏訪下総守の失脚
     (2)長崎奉行四人制 
 
第2章 近世中期長崎支配機構について
     ―長崎目付と享保期の長崎奉行について―
  第1節 正徳以前の上使・目付派遣
  第2節 正徳新例と長崎目付
    (1)長崎目付の創設
    (2)長崎目付の滞在場所
    (3)長崎目付の職掌
  第3節 長崎目付の廃止とその後の目付派遣
  第4節 享保期を中心とする長崎奉行の特質

第3章 享保の大飢饉と長崎
     ―長崎奉行大森山城守の飢饉対策―
  第1節 長崎奉行大森山城守時長
  第2節 「大森山城守在勤中長崎凶年御救之文」と「大森君救飢饉」
    (1)「大森山城守在勤中長崎凶年御救之文」
    (2)「大森君救飢饉」
    (3)史料の問題点
  第3節 大森山城守の飢饉対策とその後の状況

第4章 長崎奉行萩原伯耆守美雅
     ―元禄時代の貨幣改鋳から寛保期の長崎貿易政策までの軌跡―
  第1節 萩原美雅の出自と元禄時代
  第2節 新井白石と萩原美雅
  第3節 享保期の萩原美雅
  第4節 長崎貿易政策と萩原美雅

第五章 元文~明和期の長崎奉行と勘定所
     ―松浦河内守信正と石谷備後守清昌、そして石谷の御国益論を中心として―
  第1節 元文~明和期の長崎奉行就任者と勘定所
  第2節 松浦河内守信正
  第3節 石谷備後守清昌
     (1)石谷備後守清昌の出自
     (2)石谷の御国益論

第六章 寛延~宝暦期の長崎貿易改革
     ―勘定奉行・長崎奉行兼職松浦河内守信正の施政―
  第1節 松浦河内守の改革方針
  第2節 長崎会所
     (1)長崎会所の権力強化
     (2)貿易業務の集中
     (3)帳簿改定
  第3節 唐船貿易
  第4節 銅と俵物
     (1)銅
     (2)俵物
  第5節 長崎運上金
  第6節 長崎地下人

第7章 松浦河内守失脚と用行組事件
  第1節 松浦河内守失脚
  第2節 松田金兵衛上納銀延滞一件
  第3節 用行組事件
    (1)その誤謬と事件関係者
    (2)関係者の罪状
    (3)用行組事件の概要
  第4節 松浦河内守失脚と用行組事件の背景
 
第8章 宝暦~明和期の長崎貿易改革
     ―勘定奉行・長崎奉行兼職石谷備後守清昌の施政―
  第1節 金銀輸出入問題
    (1)金銀輸出
    (2)金銀輸入
  第2節 オランダ貿易
  第3節 長崎統治機構の変化
    (1)勘定所役人の長崎常駐
    (2)長崎会所調役
  第4節 課税
    (1)例格上納金・別段上納金
    (2)石銭
  第5節 長崎地下役人
    (1)役職
    (2)日常生活一般

結論

付録
長崎奉行代々記(長崎市立博物館所蔵)
長崎奉行関係文献一覧

紹介媒体

  • 西日本新聞 読書館欄

    2007年5月22日

    書籍紹介

  • 『史学雑誌』116編8号

    2007年8月20日

    松方冬子

    新刊紹介

  • 『日本歴史』第720号

    2008年5月1日

    安高啓明

    書評と紹介

  • 『歴史学研究』840号

    2008年5月15日

    戸森麻衣子

    書評

  • Itinerario vo31 no.3

    2007年

    BOOK REVIEWS

  • 『日本史研究』第554号

    2008年10月

    松尾晋一

    書評

関連書籍

  • このエントリーをはてなブックマークに追加