内容

古代日本、万物に神がやどり、ことばに命があった。きよきこころ、きたなきこころは、因果応報につながった。現代に比べて物質的には満たされず、つねに生命の危機にさらされていた記紀万葉の時代、日本には豊穣なことばとこころの世界が広がっていた。文学に造詣の深い医学者が記紀・万葉・風土記の時代に現代人の生き方の指針を探る。

目次

はじめに
  1 万物と神
天地創造/万物諸神/神の威力/神との婚姻/祖先神

  2 清浄無垢
生気あるもの/うけひ/罪・汚穢と清明/長命/神託――神との回路――/犠牲

  3 疾病観
日本最初の医療行為/医師・くすり/自然讃歌/毒気・疫神/精神的ストレス/自殺行為/疾病への措置と政/まとめとして

  4 魂の存在
再生/魂の存在とその分魂/天の性格/亡魂の霊/前兆

  5 生命の倫理
食/弱気ものへのおもい/生命力・ムス(産)の霊威/和の心・やさしさ/試練と聡明・知慧

  6 おとこ・おみなの世界
陽神と陰神/美醜と愛/結婚/産(ムス)/不倫

  7 詩人達の生死から
夭折の皇子(大友皇子・河島皇子・大津皇子)/不遇の詩人(藤原宇合・長屋王)/山上憶良と生老病死の矛盾背反/大友家持の陰翳と憂愁/防人・東歌/恋の風雅

  8 死と黄泉の国
黄泉の国・根の国/死への恐怖/幽事・幽界/敬老/霊異・霊験

  9 理想の国とユートピア
常世への願い/仁政へのおもい/健康と水の清さ・生産物のゆたかさ/四季と景勝の地の癒し/天女と仙界のやすらぎ美

  10宗教・思想・福寿・泰平と生命観
神仏をまつる/畏敬と祟り/夢に託す/福寿/思想

  11言霊の世界といのち
言向け和す・言挙げ/命名の義と名前考/霊と奇しの語意について/呪言の恐怖/言霊の神秘性

  12 魑魅魍魎の悪と正義の倫理観
悪の定義/正と不正の多面性・ねじれ現象/暴虐・犯罪からのメッセージ/終りなき権力抗争の果て/魑魅魍魎・怨霊の世界と生命

  13 まとめにあたって
生命倫理と疾病観/古代とは宇宙生命につながる倫理、倫理とは愛

 主要参考文献
 あとがき

紹介媒体

  • 北日本新聞

    2005年5月30日

    「心の処方 古代に学ぶ」

  • 毎日新聞(新潟面)

    2005年6月7日

  • 致知

    2005年8月

  • 富山新聞

    2005年5月31日

  • 新潟日報 朝刊読書面

    2005年10月2日

    蒲原宏

  • ペナック(長岡ペンクラブ)

    2005年9月

    片桐邦栄

  • 文藝研究(東北大学文学部国文学研究室 日本文芸研究会)

    2006年3月31日

    富樫進

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