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内容

紀伊の古代史研究を深めた永年の成果。第1部では紀国造と名門貴族である紀朝臣の考察と倭政権との関係などを扱い、第2部で8~9世紀の紀伊に関する経済・文化を論じ、第3部には古文書研究を収録。

目次

第Ⅰ部 紀氏と紀伊国

第1章 鳴滝倉庫群と倭王権
  鳴滝倉庫群の建設
    「紀氏集団」と倭王権・畿内王権
    鳴滝遺跡の倉庫群
    鳴滝倉庫群の評価
    鳴滝倉庫群の機能
  難波倉庫群の出現
    難波倉庫群の規模と構造
    難波倉庫群の位置づけ
    難波倉庫群と国際関係
  鳴滝倉庫群から難波倉庫群へ

第2章 紀朝臣と紀伊国
  紀朝臣と紀伊国
    研究史
    紀伊国司
    桓武天皇の紀伊国行幸
  紀朝臣と平群谷

第3章 紀氏再考
  紀朝臣の出身地
  「紀宿祢史料」に関する疑問
  「紀宿祢史料」の検討
  「紀氏集団」の分裂過程
  中央貴族としての紀朝臣

第4章 紀氏と倭王権
  倭王権と「紀氏集団」
    部民の設定
    屯倉の設置
    紀国造の成立
    二つの画期
  「紀氏集団」分裂の記憶

第5章 和泉南部地域と紀伊
  「紀氏集団」と倭王権
  朝鮮半島情勢と倭王権
  「紀氏集団」と「大伴氏集団」
  「紀氏集団」と和泉南部地域
  倭王権と和泉南部地域


第Ⅱ部 古代紀伊の経済と政治

第6章 律令時代紀伊国における経済的発展
  紀伊国の財政的発展
    紀伊国司の就任時位階
    諸国本稲数と諸国本田数
    正税帳の数値と本稲数・本田数との比較
  紀伊国における開発の進展
    紀伊国の総田積
    在田郡における開発の進展
  紀伊国における絹生産の発展
    七世紀における発展
    八世紀における発展
    奈良時代後半~平安初期における発展
    九世紀以降の発展

第7章 和歌浦と古代紀伊 ─木簡を手がかりとして─
  和歌浦の地域性
  可太郷と和歌浦
  海部郡と贄の貢納
  和歌浦と物資の貢納
  和歌浦と海部屯倉

第8章 古代における紀北四郡の郷の配置
  伊都郡の郷
  那賀郡の郷
  『和名抄』名草郡条の検討
  名草郡の郷
  海部郡の郷

第9章 滋野氏の家系とその学問 ─九世紀における改氏姓の一事例─
  名草直(宿祢)の系統
  檜原造・伊蘇志臣の系統
  滋野朝臣の出自
  滋野朝臣と「学問」
  滋野朝臣への改氏姓

第10章 村君安麻呂とその一族
  村君安麻呂の履歴
    勘籍
    仁王経疏一〇〇部
    千部法華経
    百部法華経
    般若心経一〇〇巻
  村君一族とその分布


第Ⅲ部 紀伊古代史料の検討

第11章 「紀伊国那賀郡司解」の史料的検討
  従来の経過
  現状と問題点
    容器・箱書・所蔵印・表装
    使用紙
    紙継目
    左右端部の状況
    上下端部の状況
    紙の大きさ
    押界
    印
  釈文・筆跡の検討
    釈文
    文字の異同
    異筆・同筆
  「那賀郡司解」の作成過程
  付記:「紀伊国那賀郡司解」と売券研究

第12章 「紀葛成墾田売券」について
  『遊古世帖』所収の「紀葛成墾田売券」
  横浜市立大学所蔵の「紀葛成墾田売券」
    容器と装丁
    横浜市大本の伝来
    台紙付写真の検討
    横浜市大本の形成と釈文
    横浜市大本の性格

第13章 「紀伊国在田郡司解」の史料的検討
  「紀伊国在田郡司解」の現状
    軸その他
    各紙の状況
    印影
    押界
    裏封
  「紀伊国在田郡司解」の文字
    釈文
    釈文に関する留意点
    同筆・異筆
  「紀伊国在田郡司解」に関する考察
    押界
    第四紙
    印影
    一紙の大きさ
    第一紙
  「紀伊国在田郡司解」の作成過程

第14章 「紀伊国直川郷墾田売券」について
  『貞観延喜古文書』の検討
  「紀伊国直川郷墾田売券」の現状と問題点
    裏打紙
    料紙・紙継目・いたみの程度
    印影
    釈文
    釈文の注意点
    別筆・同筆
  若干の考察
    かつての状態
    第一紙
    第二の朱印
  「紀伊国直川郷墾田売券」の作成過程

第15章 「平田福刀自子家地充文案」と「延喜天暦保延古文書」
  冑山文庫と古代史料
  「延喜天暦保延古文書」の形状
    容器とラベル
    装丁と題籤軸および印
    文書の配列・虫損等・折目
  各文書の釈文
  各文書の形状と内容
    延喜11年(911)3月23日「平田福刀自子家地充文案」
    天暦5年(951)5月11日「平忠信家地売券」
    天暦5年(951)5月11日「平忠信書状」
    天暦11年(957)8月15日「置始乙連家地売券」
    保延7年(1141)3月19日「僧隆尊田地売券」
    年欠「某書状」
    2月24日「某書状」

紹介媒体

  • 史学雑誌 第114編第4号

    2005年4月20日

    大津透

    「新刊紹介」欄

  • 日本歴史 686号

    2005年7月1日

    寺西貞弘

  • 歴史学研究No.810

    2006年1月15日

    中村修也

  • 日本史研究531号

    2006年11月20日

    笹川尚紀

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