内容

近世日蘭貿易における日本輸出商品の生産から販売までを、個別商品の輸出状況の調査、一定期間の輸出商品全体の把握、日蘭貿易状況に現れた国内外の諸情勢という三つの複合的な視点から詳細に追究し、近世における日蘭貿易の状況と推移を明かす。国内史料を詳細に検討しつつ、オランダ東インド会社によるアジア貿易史料や日本商館史料を紹介し、相互に補完することにより、日本とアジア・ヨーロッパ市場の動向を長崎貿易を接点としてとらえた国際的研究。関係図表70余点。元日本商館長のオランダ東インド参事ファン・デル・ワイエンによる「日本におけるオランダ東インド会社の取り引きに関する記述」(1756年執筆)を付録史料として収録。

目次

序論
 近世日蘭貿易研究の現状と課題
 史料の所在
 本書の目的と構成
 本書と既発表論文

第一部 日蘭貿易の繁栄と輸出商品

第一章 近世初期の日蘭貿易と銀
 平戸商館とレアル銀貨(1610年代)
 銀貿易の上昇期(1620-30年代前半)
 銀貿易の繁栄期(1635-41)
 銀貿易の停滞期(1642-68)

第二章 近世初期の貿易商人
        -銅取扱商人を中心として-
 平戸商館と銅貿易商人
 長崎商館と銅貿易商人(1641-60)

第三章 平戸時代の銅貿易
 平戸時代の銅輸出
 寛永十四年銅輸出禁止令

第四章 長崎時代の銅貿易
 17世紀中・後期の銅貿易
 17世紀の日本銅とアジア・ヨーロッパ市場
 18世紀前後の銅貿易
 18世紀の銅貿易
 銅輸出形式の多様化

第五章 小判貿易とアジア市場
 17世紀の小判輸出
 元禄期改鋳以後の小判輸出
 小判とアジア市場

第六章 樟脳生産と販売
 樟脳の生産
 17世紀の樟脳貿易
 18世紀以降の樟脳貿易
 17世紀日本樟脳の輸出先

第七章 18世紀初期日本輸出商品の販路
 日本貿易報告書
 商品別輸出・販売状況-銅・樟脳・小判-

第二部 日蘭貿易の衰退と対日貿易政策

第八章 18世紀前期オランダの対日貿易政策
 対日貿易改善政策
 日蘭貿易の諸問題とファン・インホフの意見書

第九章 日蘭貿易の危機
 1743年の貿易額半減令
 貿易額半減令以後の日蘭貿易
 1751年日蘭貿易の危機
 総督の書簡と貿易協定

終論

付録史料[翻訳]
日本におけるオランダ東インド会社の取り引きに関する記述(ファン・デル・ワイエン)

英文目次/要旨
索引(人名・事項・地名)

紹介媒体

  • 史学雑誌 114-1

    2005年1月20日

    八百啓介

    新刊紹介

  • 日本史研究512号

    2005年4月20日

    八百啓介

  • 日本歴史 684号

    2005年5月1日

    若松正志

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