内容

著者が京都市史編さん所時代におこなった京都市内全域の旧家・会所・小社寺などの民間史料調査をもとに、戦国から幕末維新までの京都都市論を展開

目次

第一篇 近世統一権力と民衆

第一章 戦国期における市民的自治について―上下京・町組・町をめぐって―
上京中・下京中/町組の性格/生活集団としての町

第二章 京都改造―近世石高制の都市へ―
前期豊臣政権/聚楽第と大仏殿/後期豊臣政権

第三章 初期幕政における京都と江戸
北島・藤野両氏の二元政治論/「二元政治論」の再検討/東日本と西日本/家康における伏見と駿府/西日本支配機構の形成

第四章 慶長・元和期における政治と民衆―「かぶき」の世相を素材として―
かぶき躍とかぶき者/かぶき者の行動/「かぶき」の思想/法的規制/内乱のなかの民衆


第二篇 近世都市と市民生活

第一章 町の成立と町規制
「都市」のなかの「町」/地子銭免除をめぐって/町の台頭と町規制/町年寄制の形成/町規則の成文化/町規制にみる組織と運営/町規則にみる町づくり

第二章 京都における十人組・五人組の再検討
研究史の整理/問題の所在/十人組の成立と展開/五人ツ丶・五人の判-町役としての五人組-/家の組-十人組遺制としての-/整理と展望

第三章 都市借屋人問題の歴史的展開
天正・文禄期の借屋規定/幕初のゆるやかな借屋統制/牢人問題と借屋統制/触書のなかの借屋/借屋の手続きと負担/借屋請人問題の転回

第四章 近世都市における都市開発―宝永五年京都大火後の新地形成をめぐって―
近世都市の発展と停滞/宝永大火に伴う替え地/寺町の解体と寺院の移転/町家地の移転/新地の遊所化

第五章 近世京都の観光都市化論
中央経済都市京都の破綻/名物・名産の京都ブランド化/京風文化の成立/生活のなかの京風文化観光開発への動き

付論 民衆運動としての天保踊
天保踊之記/大島直珍日記(天保十年四月)/古久保家文書(天保十年 御触頭書)


第三篇 政治・都市・市民

第一章 「おかげまいり・ええじゃないか」考
近世の民衆運動/民衆の集団的熱鬧とその系譜/日常的世界からの脱出/民衆運動としての参宮と乱舞

第二章 幕末における国民意識と民衆
国民意識をめぐって/政治的存在としての民衆/情報提供者とその視座/国民意識の自覚と構造

第三章 幕末京都の政治都市化
幕藩体制の政治システムと京都/異国船の渡来と京都の位置/京都守護と率兵入京/内政の舞台-京都の構造と景観-/政治都市としての発動

第四章 京都と「御一新」
「御一新」とは何か/京都府官員の「開化」意識

紹介媒体

  • 日本歴史655号

    2002年12月

    塚本明

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